白釉稜線香炉 岡田優
白釉稜線香炉 岡田優
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幅 : 12.0cm 高さ : 13.8cm
「白釉稜線香炉」岡田優様 ― 火を囲む静謐な彫刻
岡田優様が手がける《白釉稜線香炉》は、純白の陶肌にわずかな稜線を走らせ、三本脚で軽やかに立ち上がる現代的香炉です。火舎(ふや)を包む柔らかな曲面と、鋭いカッティングラインの共存が、「静」と「動」、「温」と「冷」の二元を端正に結晶させております。以下、歴史・技法・意匠・精神性・取り合わせの五章立てで、その魅力を詳しくご紹介いたします。
1. 歴史的背景 ― 香炉と茶の湯・香道の交錯
香炉は奈良・平安期に仏教儀礼具として輸入されたのち、室町期には**聞香(もんこう)**の隆盛により、唐物青磁香炉や京焼の香爐が発展いたしました。茶室では、炉開きや正月飾りに「香合」と対で用いられ、幽かな香気が客の五感を開きます。岡田優様は、こうした伝統を踏まえつつ、香道具を立体抽象彫刻に昇華させることで、現代空間にも調和する新たな香炉像を提示しています。
2. 技法と素材 ― 白釉と稜線が生む陰翳の妙
3. 意匠 ― 三脚・稜線・摘みの造形対比
三脚構造
古代青銅器「鼎(かなえ)」由来の三点支持は、揺らぎを吸収しながら視覚的安定を与えます。脚先を内側に絞り込み、繊細さと力強さを両立させました。
稜線のリズム
胴を斜めに横切る稜線は、火舎から立ち昇る香煙の螺旋を象徴。白磁の静寂を切り裂く一閃が、空間へ動的な緊張を放ちます。
滴状摘み
滴がこぼれ落ちる一瞬を捉えた摘みは、指に沿う卵形(らんけい)で、開閉時に清冽な余韻を与えます。火穴を中央にあしらい、熱と香の排気効率を高める機能美も備えています。
4. 精神性 ― “白”に込める浄化と余白
白は禅における「無垢・無限」を指し示します。岡田優様の白釉は、光源によりわずかに温度を変え、使い込むほどに脂艶を帯びて個の景色を纏います。稜線は「人為」、曲面は「自然」、三脚は「天地人」の調和を表象し、焚いた沈香や伽羅の煙とともに、心の雑念を削ぎ落とす道標となるでしょう。
まとめ
《白釉稜線香炉》は、抽象彫刻と茶道具の機能を高度に統合した逸品です。三脚の軽やかな立ち姿と切り裂く稜線が、白磁の静けさにリズムを与え、香煙とともに空間を浄化いたします。茶席はもちろん、モダンなリビングやアートギャラリーにも自然に溶け込み、火を扱う儀礼性と現代デザインが交差する「静謐なる中心点」となることでしょう。
— 削ぎ落とした白の内に、炎と香を抱く。
その哲学が、使い手の五感と時を重ねながら、深い余韻を残してゆきます。
寸法・共箱銘・価格などの詳細情報を頂けましたら、さらに取り合わせ案や歴史的補遺を追加することも可能です。どうぞご遠慮なくお申し付けくださいませ。
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