青瓷一輪 多賀井正夫
青瓷一輪 多賀井正夫
受取状況を読み込めませんでした
幅 : 12cm×12cm 高さ : 14.6cm
本作は、雨上がりの薄空を想わせる澄明な青釉をまとう小振りの一輪挿しです。胴をふっくらと膨らませ、その上に三段のゆるやかな段差を設けた「段付瓢形(だんつきひさごがた)」のシルエットは、可憐さと端正さを兼ね備え、床の間はもちろん現代のリビングにもすっと溶け込みます。鏡面のような釉肌の下には微細な氷裂貫入(びかんにゅう)が潜み、光を受けると淡い翳りとなって立体感を添えています。口縁には釉を薄く掛け残すことで銀鼠色の鉄縁(てつぶち)が現れ、淡青の世界をきりりと引き締めています。
釉薬設計
鉄粉を抑え、高温還元で焼成後、終盤で軽く酸化雰囲気に切り替える「還元落とし」を採用。赤味を排した澄んだ青を引き出しています。
微貫入の制御
胎土と釉層の膨張係数をほぼ一致させ、冷却速度を緩やかに調整することで肉眼では捉えにくいほど細かな貫入を生じさせています。長年の使用で花水が徐々に染み込み、霞がかるような景が育ちます。
鏡面仕上げ
焼成後に低温還元で追い焚きを行い、釉表層をわずかに再溶融させて艶を高めています。その結果、周囲の光や掛物が柔らかく映り込み、“景色を孕む鏡”として機能します。
歴史
瓢形は古来「無病息災」「招福」を象徴する吉祥意匠として愛好され、茶の湯では利休・遠州時代から床飾りにしばしば登場します。一方、段付の変化を持たせた意匠は近世京焼に見られる遊び心の延長線にあり、青瓷という静謐な素材に動きを吹き込む試みと言えるでしょう。多賀井正夫様は、宋代龍泉窯を源流とする澄青を基調に、日本茶道が好む「侘びの余白」と「吉祥の形」を掛け合わせ、現代生活にも映える軽やかなアレンジを加えています。
鑑賞
段差に映る光のリング
行灯やスポットライトを当てると、段ごとに光の帯が浮かび、青の濃淡が豊かに変化します。
微貫入の霞景
近寄って見ると、釉下に雲母片のような裂紋が浮かび、器表に奥行きをもたらします。
鉄縁と素地の対比
口縁と高台の黒味が淡青と好対照をなし、古典官窯を想わせる渋みを追加します。
「青瓷一輪」は、吉祥を宿す瓢意匠と澄明な青瓷釉が織り成す“静謐とやわらぎ”の器です。一輪の草花を挿すだけで空間に瑞々しい息吹が生まれ、年月とともに微貫入が霞をまとって、器とともに物語が育ちます。どうぞ長くご愛用いただき、ご自身だけの季節の景色をこの青瓷に重ねていただければ幸いです。
Share

-
【丁寧に、お送りいたします】
それぞれの商品に合った形態で、丁寧に梱包いたします。
また、作品(器など)により、納期は変わります。
作品の引渡時期は、ご注文確認後、共箱準備済み作品は7営業日以内に出荷させていただきます。共箱を新たに製作する作品は45営業日以内に出荷させていただきます。
いずれも、ご注文を確認いたしましたら、当店より納期をメールにてご連絡いたします。
-
【陶器をご購入の際のお願い】
作品ごとに、出来るだけ詳細をご確認いただけるように画像を掲載しておりますが、ご不明な点はお問い合わせください。
作品の色合いなどは、画像を表示する環境により若干異なることがございますが、ご理解の程お願いいたします。
作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。