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青瓷花入  多賀井正夫

青瓷花入  多賀井正夫

通常価格 $570.00
通常価格 セール価格 $570.00
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幅 : 12.5cm×12.5cm  高さ : 16.3cm

本作は、淡く澄んだ空青の釉肌に大ぶりの「網目貫入(あみめかんにゅう)」が悠々と走る、存在感あふれる青瓷花入です。ふくらみをもたせた胴部から肩を張り、そのまま絞り込んで円盤状の高台へと落ち着くフォルムは、古代ギリシアのキュリクス台や宋代磁州窯の茄子形瓶を思わせる一方、下部を広めの台座に据えることで安定感とモダンな軽快さを両立しています。鏡面のように光を映す釉面には、墨色に染まった裂紋が石畳のように絡み合い、静かな青の世界に躍動感を添えています。

釉調と貫入

発色:鉄粉を調整し、高温還元焼成後に軽く酸化へ切り替える「還元落とし」によって、赤味を帯びない澄明な青を獲得しています。

網目貫入:胎土と釉の膨張係数差を大きめに設定し、焼成後の急冷で幅広い裂紋を発生。線幅を一定にし過ぎず、自然石の割れ目を思わせるランダムなリズムで動勢を生み出しています。

染み入れ:焼成後に茶褐色の色水を煮沸浸透させ、貫入を墨描のように際立たせています。使用とともに花水が加わることで、線の陰影がさらに深まり、経年美を楽しめます。

鉄縁:口縁と台座の釉切れ部を薄掛けにし、素地の鉄分を酸化させて銀鼠〜黒鉄色を出すことで、淡青を引き締め、古典官窯の「鉄口・鉄足」を彷彿とさせています。

歴史

花入の下部を円盤台に据える造形は、青銅器の「尊(そん)」や「爵(しゃく)」の台座に通じ、古来「天と地をつなぐ器」として儀礼的意味を帯びました。宋代官窯の青瓷がもつ神秘的な青は、禅僧によって「空の色」「水の色」と讃えられ、日本の茶の湯で侘びの象徴となります。本作は、その伝統を踏まえつつ、モダンデザインの足元意匠を採り入れることで、茶席のみならず現代リビングやギャラリー空間でも映える佇まいへと昇華されています。

鑑賞

網目貫入の陰影
斜光を当てると、線が雲母片のように反射し、器表に浮遊感が生まれます。

映り込みの深度
鏡面釉が掛物や行灯の灯りを柔らかく映し込み、花入自体が“景色を孕む鏡”として空間に溶け込みます。

鉄縁と素地の対比
口縁と台座の黒味が淡青とコントラストを成し、古典性とモダン性が交錯する景を演出します。


多賀井正夫様の「青瓷花入」は、静謐な青瓷釉と大胆な網目貫入、そして安定感のある円盤台座が織り成す“静と動”“古典と現代”のハーモニーを体現した逸品です。一輪の花を挿すだけで床の間が瑞々しく呼吸を始め、季節とともに裂紋が深みを増して、器は使い手と共に育つ“生きた青瓷”へと変貌してゆきます。どうぞ末永くご愛用いただき、ご自身だけの物語をこの器に刻み込んでいただければ幸いです。

多賀井正夫 陶歴
1970 大阪府岬町に生まれる  
1998 陶芸を志す  
2001 日本伝統工芸近畿展 入選  
2002 朝日陶芸展 川崎記念賞 受賞  
2005 日本伝統工芸近畿展 新人賞 受賞  
2007 大阪工芸展 大阪市長賞 受賞  
2009 日本伝統工芸展 入選  
2013 日本陶芸展 入選  
2014 現代茶陶展 入選  現在形の陶芸萩大賞展 入選  美濃茶盌展 入選  
2016 大阪府岬町に築窯  
2017 陶美展 入選(以降 18・19・20・22・23・24)  
2019 日本工芸会 正会員となる  
2025 日本伝統工芸近畿展 日本経済新聞社賞 受賞  
現在  
 日本工芸会 正会員  
 日本陶芸美術協会 正会員  
 大阪工芸協会 正会員  

 

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    作品の色合いなどは、画像を表示する環境により若干異なることがございますが、ご理解の程お願いいたします。

    作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。

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