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海老茶碗 尾西楽斎

海老茶碗 尾西楽斎

通常価格 $1,422.00
通常価格 セール価格 $1,422.00
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税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。

幅 : 11.8cm 高さ : 7.8cm

尾西楽斎様が手掛けられた本作は、真っ白な釉景を舞台に威風堂々たる伊勢海老(いせえび)を大きくあしらい、吉祥性と躍動感を一挙に表現した一碗でございます。伊勢海老は古来「長寿」「子孫繁栄」「昇進」を意味する瑞祥の象徴とされ、正月飾りや婚礼の席でも重用されてまいりました。ここでは、その海老が茶碗いっぱいに躍る姿を通じて、祝いの心と海の生命力を茶席へ呼び込む趣向が凝らされています。以下、五つの観点から魅力を詳説いたします。


1.造形と胎土

胴張りの端正なプロポーション
見込みから口縁へ穏やかに張り出す胴張り形は、抹茶の泡立ちを均一にしやすい理想的な比率です。

三方割高台(裂足高台)
高台は三方向に切り込みを入れた裂足仕立てで、呉器形由来の力強さを残しつつも、現代的な安定感を実現しています。素地はやや鉄分を含み、還元焼成による桜色の火色(ひいろ)がほのかに現れ、祝宴の朱を思わせる余情を添えています。

雪白釉の舞台
外面と内面を覆う雪白釉はガラス光を帯び、極めて滑らかな肌合いです。光を柔らかく受け止めて伊勢海老の赤を際立たせ、抹茶の緑も鮮やかに映えます。


2.意匠 ― 伊勢海老の吉祥と躍動

大胆な構図
胴全体にわたり、海老の頭胸甲から尾扇に至るまでを横溢させることで、器を回すたびに異なる部位が現れ、海老が泳ぎ回るかのような視覚効果を生み出しています。

赤絵と金泥の重奏
甲殻は鉄赤絵具で描かれ、節目や棘、斑点を金泥で点描することで立体感と豪奢さを強調しています。目玉に黒釉を落として艶を出し、生き生きとした表情を付与している点も秀逸です。

伸びやかな触角と脚
細筆で一気呵成に引かれた触角と歩脚が、海老特有の跳ねる勢いと水中の流線を連想させ、静物画に動感を吹き込んでいます。


3.技法 ― 京焼色絵の精緻

赤絵盛り上げ
鉄赤絵具をやや厚めに盛り、低火度で再焼成することで甲殻に凹凸が生まれ、触覚的なリアリティを与えています。

金泥細線描
金泥を800℃前後で焼き付け、剥離しにくい輝きを確保。斑点や節線を金で強調することで、祝いの器らしい華を添えています。

白釉との対比
絵付け部分以外を真白の釉面で広く残す「余白の美」によって、豪華絢爛な海老図が一層引き立ち、現代的ミニマリズムと古典装飾を同居させる効果が生まれています。


4.茶席での機能美

抹茶映え
内面は無地の白釉で統一され、抹茶の緑が鏡面のように映えます。点前の際、海老の赤と金が茶面に反射し、祝宴のような晴れやかさを醸し出します。

季節と場面の広がり
正月の初釜や還暦・喜寿など長寿祝いの茶席、さらには昇進・開業といった慶事にもふさわしく、語りの幅が非常に広い意匠です。

手取りの安定感
三方割高台は指が自然に掛かるため持ちやすく、薄い口縁は唇当たりが軽やかで、見た目の量感に反して実用面も秀逸です。


5.文化的背景と現代性

伊勢海老は、武家社会では鎧の「海老胴(えびどう)」に姿を模されるほど威厳の象徴とされ、茶の湯でも長寿や武運長久を願う意匠として好まれてきました。本作はその伝統的モチーフを、白釉×赤絵×金彩という清新な配色で再構成し、現代の茶席やインテリアにも映える軽やかさを備えています。尾西楽斎様は“綺麗さび”の系譜を受け継ぎながら、土味を抑えた洗練された白地を採用することで、古典とモダンの架け橋となる作品へ昇華させました。

真白な海原を勢いよく泳ぐ伊勢海老――その赤と金の華やぎは、長寿と繁栄を願う祝いの心を端的に表現しています。茶席に据えれば、一碗の中に祝祭の鼓動が響き渡り、客人との対話が自然と寿(ことほ)ぎに満ちたものとなりましょう。尾西楽斎様の海老茶碗は、吉祥と躍動、“用の美”と“語りの美”を兼ね備えた、晴れの席に相応しい逸品でございます。

尾西楽斎様との対談

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