釉線紋壺 竹村陽太郎
釉線紋壺 竹村陽太郎
幅 : 23.0cm 高さ :18.5cm
釉線紋壺(ゆうせんもんつぼ) 竹村陽太郎様:規則的な美しさと釉薬の鮮やかさ
竹村陽太郎様の「釉線紋壺」は、丸みを帯びた安定感のある形状と、繊細かつ規則的な縦の模様が際立つ美しい作品です。この作品は、陶器の魅力を最大限に引き出し、色彩の鮮やかさと形状の安定感が見事に調和しています。花を入れなくてもその存在感は十分で、現代陶芸の名作と言えるでしょう。
丸みを帯びた安定した形状
「釉線紋壺」の形状は、丸みを帯びた滑らかなフォルムであり、その安定感が作品全体に力強い印象を与えます。この壺は、形の基本を忠実に守りながらも、繊細な表現が感じられる点で、卓越した技術が見て取れます。形そのものが花を入れなくても美しく、見る者を引き込む魅力を持っています。
釉薬と線文の調和
この壺の最も特徴的な部分は、規則的に施された縦の線文と釉薬の吹き付け技法です。釉薬が壺全体に吹き付けられることで、表面には美しい質感と独特の模様が生まれます。この釉線模様は、作品に動きを与えると同時に、陶器としての素材の魅力をさらに引き立てています。釉薬の層が施されたことで、壺に深みと鮮やかさが加わり、その力強さが際立ちます。
色彩と模様の鮮やかさ
特徴的なカラフルな釉薬は、この壺にも鮮やかに表現されています。吹き掛け技法を用いた釉薬は、表面にざらりとした手触りを残し、同時に色彩のグラデーションが作り出されます。特に、コーラルレッドやセルリアンブルーなどの彩り豊かな色合いが、壺の丸みと調和し、視覚的にも美しい作品となっています。吹き掛けの技法によって釉薬の模様が生き生きと表現され、立体感と奥行きを感じさせます。
線文が生む力強さと繊細さの融合
この作品に施された釉線文は、壺全体にリズムを与え、視覚的な動きを生み出しています。縦に伸びる線文は、吹き付けられた釉薬の色彩と相まって、作品に力強さと繊細さの二重の魅力を与えています。釉薬が規則的にかけられた線文を強調し、作品全体に立体感と存在感をもたらします。これにより技法が、伝統的な陶芸に現代的なアプローチを加える一方で、陶器の本来の魅力を最大限に引き出していることがわかります。
竹村陽太郎様と「大日窯」:自然と現代の調和
「大日窯(だいにちがま)」で制作される竹村陽太郎様の作品は、伝統と現代が融合した独自のスタイルが光ります。父・繁男様と共にこの小さな窯元を運営し、植物灰や化合物を調合した釉薬を用いた作品を次々と生み出しています。作品は、釉薬をスプレー状に吹き付けて作り出す「吹き掛け」技法や、独自の装飾技法を積極的に取り入れ、伝統工芸に新しい視点を与えています。
器の形状に合わせて道具を自作し、自らの制作スタイルに合わせた方法で作品を作り上げています。この「釉線紋壺」も、そんな彼の独自の感性と技術が生み出した逸品であり、彼の持つ自然素材と現代技術のバランスが美しく表現されています。
伝統と現代が融合した名作
竹村陽太郎様の「釉線紋壺」は、伝統的な技法と現代的なデザインの融合を体現した作品です。規則的な線文と鮮やかな釉薬の美しいコントラストが、この壺に生命力を与え、観る者を魅了します。形状の安定感と色彩の鮮やかさが絶妙に調和し、花を入れなくてもその美しさが際立つこの作品は、まさに現代陶芸の名作です。
竹村陽太郎 略歴
1981年 京都山科に生まれる
2009年 京都府立陶工高等技術専門校 成形科修了
2010年 京都市工業試験場 陶磁器研修コース修了 大日窯にて父、繁男と共に作陶を始める
2011年 第四十回『日本伝統工芸近畿展』入選
国民文化祭 京都2011・美術展「工芸」奨励賞受賞
2012年 第四十一回『日本伝統工芸近畿展』入選
京都美術・工芸ビエンナーレ入選
2013年 第四十二回『日本伝統工芸近畿展』入選
高島屋京都店・美術工芸サロンにて個展
2014年 第四十三回『日本伝統工芸近畿展』入選
2015年 第四十四回『日本伝統工芸近畿展』入選
2016年 第四十五回『日本伝統工芸近畿展』入選
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