丹波自然釉器　西端正

幅 : 24.5cm  　奥行13.6cm     高さ :13.0cm　

ご紹介

西端正様が作る丹波自然釉器は、丹波立杭焼の伝統と自然の美が見事に調和した作品です。作品に見られる美しさは、勾玉のように滑らかで普遍的な形が際立ち、どこか神秘的でありながらも自然体です。西端正様は、陶器の造形において素材の持つ本来の風合いを最大限に引き出すことを大切にし、釉薬を用いない「自然釉」による焼き物作りに特に力を入れています。

丹波立杭焼の伝統

丹波立杭焼は、兵庫県丹波篠山市の800年以上続く日本の伝統的な陶磁器で、六古窯の一つに数えられます。この地域では、桃山末期から続く焼き物の伝統があり、古くは「小野原焼」とも呼ばれていました。当初は穴窯（あながま）で焼かれていた大型の器が主流で、自然の土や釉薬を活かした素朴な焼き物が多く作られてきました。江戸時代以降、朝鮮式の登り窯が導入され、これにより一度に多くの器を均一に焼き上げることが可能となり、丹波焼独自の発展が促されました。この時期から、自然釉や土の鉄分を活かした独特の窯変（ようへん）が見られるようになり、その色味や模様は丹波焼の特徴として今日まで受け継がれています。

西端正様の自然釉

西端正様の作品において、特に印象的なのは「自然釉」を使った焼き物です。自然釉とは、松や藁の灰が焼成中に器に自然に降り積もり、炎との化学反応で釉薬が形成される技法です。この技法を用いると、深い緑色やとび色、独特の模様が自然発生的に生まれ、一つとして同じ作品は生まれないため、唯一無二の美しさを持つ作品が誕生します。西端様の丹波自然釉器は、こうした自然釉の持つ偶発性を大切にしながらも、形の美しさや器全体のバランスに気を配っています。作品は、どこか自然の中にある石や木の形に通じるような、シンプルでありながら奥深い美しさを備えています。勾玉のように曲線が優美で、持った時の手触りや重さがしっくりと手に馴染むのも、西端様の作品の特徴です。

丹波立杭焼の現代的意義

丹波立杭焼は、伝統的な技法とともに現代でも日常の器として親しまれ続けています。素朴でありながらも深い味わいがあり、使い込むほどに器の色や模様が変化していくことから、長く愛用できる実用品としても評価されています。西端正様の作品も、そうした丹波焼の伝統を踏襲しつつ、新しい感覚を取り入れたものとなっており、現代のライフスタイルに溶け込む一方で、その芸術的価値も高く評価されています。

西端正　略歴

昭和二十三年 二月二十四日生
昭和四十四年 作陶を始める
昭和五十一年 兵庫県展奨励賞
昭和六十一年 日本伝統工芸展初入選
昭和六十三年 日本伝統工芸展入選 日本伝統工芸展日本工芸会総裁賞
平成元年 日本陶芸展入選半どんの会 乃川記念賞
平成三年 日本伝統工芸展入選 日本陶芸展入選 茶の湯の造形展大賞
平成四年 日本伝統工芸展入選 茶の湯の造形展優秀賞 兵庫県新進芸術家奨励賞 NHK主催 パリ―日本の陶芸 「今」一〇〇選招待出品 茶の湯の造形展優秀賞
平成五年 日本伝統工芸展入選 個展 そごう広島店 京都シュマン
平成六年 日本伝統工芸展入選 個展 日本橋三越本店
平成七年 日本伝統工芸展入選 個展 そごう広島店
平成八年 日本伝統工芸展入選 茶の湯の造形展優秀賞 個展 日本橋三越本店 
平成九年 茶の湯の造形展奨励賞
平成十年 日本伝統工芸展入選 個展 日本橋三越本店 日本伝統工芸展入選
平成十二年 個展 日本橋三越本店 個展 福岡三越
平成十三年 ギャラリー堂島 日本伝統工芸展入選
平成十四年 個展 日本橋三越本店 個展 ギャラリー堂島
平成十五年 個展 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン
平成十六年 父子展 そごう広島店 茶の湯の造形展大賞
平成十七年 明石市立文化博物館・兵庫のやきもの展出品 赤土部臺買上 兵庫陶芸美術館 個展 ギャラリー堂島 日本橋三越本店
平成十八年 茶の湯の造形展大賞　日本伝統工芸展入選 ボストン美術館及び ニューヨークジャパンソサエティギャラリー 個展 横浜高島屋 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン 父子展 松山高島屋
平成十九年 陶俊会展 そごう横浜店 茶の湯の造形展奨励賞 日本伝統工芸展入選
平成二十年 日本伝統工芸展入選 個展 横浜高島屋 日本橋三越本店 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン 陶俊会展 船橋 西武 そごう広島店 日本陶芸展招待出品
平成二十一年 個展 ギャラリー堂島 仙台三越
平成二十二年 そごう神戸店 智美術館大賞展現代の茶 出品 個展 横浜高島屋 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン
平成二十三年 日本陶芸展招待出品 個展 アメリカ・ニューヨーク・ジョーンBマービス 日本陶芸展招待出品
平成二十五年 菊池寛実記念智美術館『現代の名碗”出品 個展 日本橋三越本店 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン ギャラリーミヤザキ そごう神戸店 千葉そごう
平成二十六年 個展 個展 日本橋三越本店
平成二十七年 兵庫県文化賞受賞
平成二十八年 東広島市立美術館 生活を彩る陶―食の器 出品 アメリカ・ニューヨーク・ジョーンBマービス
平成二十九年 四十周年記念展出品 
平成三十年 個展 日本橋三越本店