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布目呉須花入 藤平伸

布目呉須花入 藤平伸

通常価格 $1,795.00
通常価格 セール価格 $1,795.00
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幅15cm ×13cm  高さ18cm

藤平寧様との対談

藤平伸様と「布目呉須花入」の芸術性

「布目呉須花入」は、現代陶芸の巨匠・藤平伸様(ふじひら しん)が手掛けた名品の一つです。この作品は、生涯追求した「詩的な陶芸」の真髄を表現しています。作品に共通する温かさと親しみやすさ、そして繊細な技術が融合し、鑑賞者を惹きつける独自の魅力を放っています。

この花入れの特徴的なフォルムは、丸みを帯びた優美な形状と布目の質感による装飾性にあります。その柔らかなフォルムは、見る者に静穏で詩的な感情を呼び起こします。一方で、作品全体に施された布目模様と濃い呉須の青は、視覚的な力強さと普遍的な美の要素を併せ持ち、時代を超えた価値を感じさせます。


詩的なデザイン:布目模様と菱形の図案

この花入れに施された布目模様は、伝統的な技法と藤平の感性が融合したもので、濃い呉須の青が布目を通じて繊細に浮かび上がる構造です。この技法により、自然と人間の手業が調和したような美しさが表現されています。

さらに、この作品には菱形の図案があしらわれています。この図案は、歴史的にも多くの文化で愛されてきた普遍的な意匠であり、調和と秩序を象徴しています。この普遍的なモチーフを藤平が独自のアプローチで取り入れることで、「布目呉須花入」は伝統と現代の融合を体現する作品となっています。


呉須の魅力とその特性

呉須は、陶芸作品に深い青色をもたらす鉱物顔料で、藤平様の作品に欠かせない要素の一つです。主成分である酸化コバルトが、還元炎で焼成されることで藍青色や紫青色を発色します。この独特の発色は、同じ顔料を使用しても焼成の環境や温度により変化するため、一点物の芸術性を高める要因となっています。

特に「布目呉須花入」に使用されている呉須の濃い青は、光の当たり方や鑑賞する角度によって異なる表情を見せ、作品に奥行きと神秘性をもたらします。また、布目模様の凹凸が呉須の発色に微妙な影響を与え、作品にさらに立体感を加えています。


土の温かみとの融合

呉須の青だけでなく、「布目呉須花入」には陶土そのものの温かみが感じられる点も大きな特徴です。土の自然な質感は呉須の透明感ある青と見事に調和し、作品に生命感を与えています。この融合は、藤平様が陶芸を通じて表現しようとした自然と人間のつながりの象徴とも言えるでしょう。

土の色合いは、単なる背景としてではなく、呉須の青を引き立てるための要素としても機能しています。これにより、作品全体に静けさと力強さが共存し、鑑賞者に長く愛される普遍的な魅力を提供しています。


インテリアとしての実用性と芸術性

「布目呉須花入」は、その優れたデザイン性と機能性により、どのような空間にも自然に溶け込みます。玄関やリビング、オフィスの机の上など、飾る場所を選ばない汎用性があり、花を活けることで空間にさらなる生命感を与えます。

また、この作品は単なる花器としてだけでなく、鑑賞に値する芸術作品としても楽しむことができます。花を活けずとも、その形状と装飾性だけで十分に空間を彩る力があり、インテリアのアクセントとしても秀逸です。


藤平伸様の生涯と作風

京都の陶磁器生産の中心地である五条坂で製陶業を営む家庭に生まれました。幼少期から陶磁器に触れながら育った藤平様は、病気療養中に培った独自の感性を基に、詩的な陶芸の世界を築き上げました。轆轤を使用せず、手捻りやタタラ技法で成形した作品には、自然体の美しさと軽妙な洒脱さが感じられます。

作風は、内面世界を反映した詩的な要素に満ちています。人物や動物、建築物をモチーフにした陶彫、そして装飾性の高い器物を手掛ける中で、特に「布目呉須花入」はその作風の特徴を端的に示す作品の一つです。


伝統と革新を超えた独自の陶芸

藤平様は、伝統的な陶芸の技法を尊重しつつ、それを超えた新しい表現方法を追求しました。「布目呉須花入」もその一例であり、染付や呉須といった伝統技法を独自に発展させることで、現代においても新鮮な感覚を与え続けています。作品は、中国・唐代の明器や俑に影響を受けながらも、単なる模倣にとどまらず、彼自身の感性によって再構築されています。これにより作品には時代や地域を超えた普遍性が宿り、国内外で高い評価を受けています。詩情あふれる作品群によって「陶の詩人」とも称されました。「布目呉須花入」もまた、詩的な感性と技術が結実した作品であり、見る者に温かさと静けさをもたらします。日常に溶け込む実用性と芸術性の両立は、藤平様の陶芸作品が持つ最大の魅力と言えるでしょう。「布目呉須花入」を手に取ることで生涯をかけて追求した詩的な陶芸の世界を、日常の中で感じることができるのです。

藤平伸様 来歴
1944 京都高等工芸学校に入学 病気のため中途退学
1945 藤平陶芸にて作陶
1957 第13回 日展にて特選・北斗賞受賞
1960 イタリア・フィレンツェ国際陶芸展
1963 第6回新日展にて菊花賞受賞 京都府文化功労賞受賞
1968 現代陶芸の新世代展 陶芸の現在-京都から展
1970 現代の陶芸ヨーロッパと日本展
1973 日本陶磁協会賞受賞
1974 中南米巡回展
1976 東独巡回日本陶磁名品展
1978 西ドイツ巡回日本陶磁名品展
1982 アメリカ・カナダ巡回展
1983 現代日本の工芸展
1985 現代日本美術の展望展
1990 京都美術文化大賞受賞
1991 京都市文化功労賞受賞

「本作品は未使用の新作です。現在、藤平伸記念館で保管されています。ご購入の際はご子息である藤平寧様が真作の証明として共箱を制作いたします」

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