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練込青瓷星誕茶盌 諏訪蘇山

練込青瓷星誕茶盌 諏訪蘇山

通常価格 $1,894.00
通常価格 セール価格 $1,894.00
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幅 : 13.9cm 高さ : 6.4cm

Ⅰ.作品概要

本作「練込青瓷星誕茶盌」は、白磁・青磁・藍磁・紅磁の四色磁土を幾重にも重ね、轆轤で一気に挽き上げる“練込(ねりこみ)”技法によって誕生した抹茶碗です。遠い宇宙で星雲から新しい恒星が生まれる瞬間、ピンク色の輝きが放たれる――その情景を茶碗の肌に封じ込めたいという四代 諏訪蘇山様 の思いから「星誕(せいたん)」と名付けられました。淡い翡翠色の青磁層をベースに、藍の深みと紅の煌めきが螺旋状に交わり、作為を感じさせない穏やかなフォルムの中に雄大な宇宙のドラマを映し出しています。


Ⅱ.造形とフォルム

控えめな端反り口縁

口縁はごく僅かに外反し、茶筅捌きを妨げず、唇当たりも柔らかです。縁に走る薄紅のラインが夜明けの天際を思わせ、器の外周にリズムを与えています。

浅広がりの見込み

見込みは浅く開き、練込模様が底へ向かって静かに収束します。抹茶が注がれると、緑の液面が星雲の中心に生まれた新星のように輝き、視覚的焦点を形成します。

軽やかな高台

高台は低めに削り、外側へほんのりと広がる形状です。掌に収めたときの安定感が高く、見た目の軽快さと実用性を兼備しています。高台際には意図的に紅磁層を覗かせ、星誕の火照りを暗示しています。


Ⅲ.練込技法と釉調――星雲を抱く層の深み

四色磁土の層構成
白磁・青磁・藍磁・紅磁を順に板状へ延ばし、千層に重ねて円筒状に巻き、芯土とした後に轆轤成形。回転に伴って層が螺旋を描き、銀河の渦を思わせるストライプが自然発生的に現れます。同じ景色を持つ茶盌は二つと存在しません。

透明青磁釉のヴェール
成形後は透明度の高い青磁釉を全面に掛け、還元焼成。釉層がガラス質の膜となって内部の層模様を包み込み、光を受けて奥行きと柔らかな滲みを生み出します。藍磁層は深海のような静寂を、紅磁層は星誕の熱量を示唆し、青磁層が全体を澄み渡らせています。

釉肌の触感
釉面は滑らかで、指先にしっとりと吸い付くような感触があります。練込の彩りを視覚で味わいながら、肌理の静けさが手のひらを通じて心を落ち着かせます。


Ⅳ.茶席での取り合わせと機能美

季節 推奨主菓子 茶盌との相乗効果
桜花餅・花見団子 紅磁層が花霞を思わせ、桜色を柔らかく引き立てます
葛饅頭・青梅羹 青磁層の涼感が盛夏の熱気を払拭し、清流の景を生みます
月見団子・紫芋羊羹 藍磁層が夜空を深め、紅磁層が月の出を暗示します
椿餅・雪平 白磁層が雪景色を連想させ、抹茶の緑が生命の兆しを際立てます

抹茶との調和
抹茶の鮮やかな緑が四色の層に浮かび上がり、茶碗内部に“宇宙の核”が誕生したかのような視覚効果をもたらします。

照明効果
行灯や蝋燭の暖色光を当てると、紅磁層がほのかに輝き、藍磁層が星空の深みを強調します。夜席では特に幽玄な景色が際立ちます。


Ⅴ.歴史的背景と技法的意義

練込の系譜

練込技法は奈良時代の練上手に起源を持ち、江戸後期には薩摩や京焼で発展しました。四代 諏訪蘇山様 は青磁を基盤に持つ諏訪家の伝統と練込技法を融合させ、宇宙的ビジョンを表現する現代青磁の新たな可能性を拓いています。

星誕の物語性

元・明代景徳鎮の釉裏紅や青花にみられる宇宙的意匠を、四色磁土の層構造で現代的に再解釈。紅磁の発色は銅を主発色剤とし、還元冷却で安定化させています。藍磁層にはコバルトを用い、青磁層の鉄分とバランスを取ることで透明感を損なわず深い色調を獲得しています。


Ⅵ.作家略歴と制作姿勢

四代 諏訪蘇山様(1970年京都市生まれ)は、三代 諏訪蘇山様 と塗師・十二代 中村宗哲様 の薫陶を受け、2002年に四代を襲名。青磁研究を基軸に、蛍手・飛青瓷・練込青磁など多彩な技法を駆使し、「作品には物語を宿し、使い手の心と重なって完成する」という理念を掲げておられます。本茶盌では「星雲から新星が誕生する瞬間の輝き」を掌に乗せ、点前のひとときに宇宙の深呼吸をもたらしたいとの思いが込められています。


Ⅶ.結語

 「練込青瓷星誕茶盌」は、翡翠色の静謐な青磁に藍の深海と紅の新星を抱え込み、遠い宇宙で繰り返される星の誕生を映し出した逸品です。豪華さよりも品位と優雅さが場を包み込み、抹茶を注げば緑の光が夜空を照らす星々を映し出します。四代 諏訪蘇山様 の研ぎ澄まされた造形感覚と練込技法が結実した本作は、茶席に静かな宇宙を呼び込み、見る者の心に無限の広がりと温かな希望をもたらしてくれることでしょう。

 

四代諏訪蘇山 略歴

1970年 京都市に生まれる 父 三代 諏訪蘇山・母 十二代 中村宗哲 三女
1988年 京都市立銅駝美術工芸高等学校漆芸科卒業
1992年 成安女子短期大学造形芸術科グラフィックデザインコース映像専攻卒業・専攻科修了
1996年 京都府立陶工高等技術専門校成形科・研究科修了
1997年 京都市伝統産業技術者研修陶磁器コース本科修了 父と共に陶磁器の制作活動 各地にて中村宗哲展に出品、哲公房に参加
2002年 四代諏訪蘇山を襲名
現在 各地にて諏訪蘇山展を開催
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