灰釉三足壷 藤平伸

幅１５.５cm ×１５.５ｃｍ 　高さ２３ｃｍ

藤平寧様との対談

藤平伸様の「灰釉三足壷」は、灰釉の自然な美しさと鉄絵の繊細な魅力が融合した傑作です。この作品は、見る者の視線を惹きつけるユーモラスな形状と、普遍的な美をたたえたプリミティブなフォルムを持ちます。

自然が生み出す灰釉の瑞々しさ
この壷の最大の特徴は、灰釉が生み出す鮮やかな緑の色彩です。灰釉は、焼成時に薪の灰が釉薬に溶け込むことで得られる自然の産物です。その緑は透明感と高貴さを併せ持ち、瑞々しい生命力を感じさせます。壷全体に広がるこの釉薬は、自然が生み出す美しさそのものであり、見る者の心を浄化するような静けさをもたらします。

土と鉄絵が織りなす日本的な調和
鉄絵による模様は、日本文化特有の繊細さと奥ゆかしさを表現しています。この模様は、土の自然な赤みが際立つ部分と見事に調和し、壷全体に温もりを加えています。藤平様の鉄絵は単なる装飾ではなく、壷に日本的な物語性を与え、伝統と革新の共存を示しています。

三足が支えるプリミティブな美
壷を支える三本の足は、どこか愛らしくも力強い存在感を放っています。その形状には、古代から続く造形美へのオマージュが込められています。三足の構造は、壷を安定させると同時に、プリミティブな力強さを象徴しています。このデザインは、壷に親しみやすさを与える一方で、普遍的な美をたたえる藤平様の哲学を体現しています。

包容力のある丸み
全体的に柔らかな丸みを帯びたフォルムは、見る者に安心感と包容力を感じさせます。その形状には、「ただ存在するだけで空間を満たす」という普遍的な美の要素が込められています。花を生けずとも、この壷はそれ自体で芸術作品としての役割を果たし、空間を詩的に演出します。

藤平伸様の遊び心と自然体
藤平伸様は、自然と向き合いながら、素材の可能性を最大限に引き出すことに生涯を捧げました。「灰釉三足壷」は、その理念が凝縮された一品です。彼が手捻りやタタラ成形を用い、轆轤を使わずに作り上げたこの作品には、作家の温かみと遊び心が宿っています。

自然の美しさと人間の創造力が見事に調和した芸術品です。その魅力は、単なる器物を超え、観る者の感性を揺さぶります。藤平伸様が生み出したこの作品は、日本陶芸の可能性を示し、現代における陶芸の新たな価値を提案する重要な存在です。

藤平伸様 来歴
1944 京都高等工芸学校に入学 病気のため中途退学
1945 藤平陶芸にて作陶
1957 第13回　日展にて特選・北斗賞受賞
1960 イタリア・フィレンツェ国際陶芸展
1963 第6回新日展にて菊花賞受賞 京都府文化功労賞受賞
1968 現代陶芸の新世代展 陶芸の現在－京都から展
1970 現代の陶芸ヨーロッパと日本展
1973 日本陶磁協会賞受賞
1974 中南米巡回展
1976 東独巡回日本陶磁名品展
1978 西ドイツ巡回日本陶磁名品展
1982 アメリカ・カナダ巡回展
1983 現代日本の工芸展
1985 現代日本美術の展望展
1990 京都美術文化大賞受賞
1991 京都市文化功労賞受賞

「本作品は未使用の新作です。現在、藤平伸記念館で保管されています。ご購入の際はご子息である藤平寧様が真作の証明として共箱を制作いたします」

「本作品は未使用の新作です。現在、藤平伸記念館で保管されています。ご購入の際はご子息である藤平寧様が真作の証明として共箱を制作いたします」