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乾山写し菊之絵酒呑 宮川香斎

乾山写し菊之絵酒呑 宮川香斎

通常価格 $526.00
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高さ :7.5cm  幅 : 6.5cm

「乾山写し菊之絵酒呑 宮川香斎」は、江戸時代を代表する芸術家、尾形乾山の作風を忠実に再現しつつ、現代の陶工である宮川香斎様がその技術を引き継ぎながらも独自の解釈を加えた作品です。乾山の作品は琳派と呼ばれる美術様式に属し、兄である尾形光琳との共同制作を通じて発展しました。琳派は、シンプルで洗練されたデザインと大胆な色彩、装飾性の高い技法が特徴で、その影響を受けた作品は、日本美術の中でも特に優美なものとして知られています。

尾形光琳は京都の裕福な呉服商の家に生まれ、幼少期から芸術に触れて育ちました。光琳の多才なセンスは、屛風絵から着物、小品まで多岐にわたる作品に表れ、そのデザインは生活文化そのものを美的に高めるものとして評価されました。乾山はその光琳の美的感覚を取り入れ、陶器に表現していきました。特に光琳が描いた「菊図屏風」や「菊花流水図団扇」は菊をテーマにした傑作であり、乾山が菊のモチーフを使用した背景には、この琳派の影響が強く反映されています。

菊の節句とその縁起

日本では、菊は不老長寿を象徴する縁起物として古くから尊ばれてきました。特に9月9日の重陽の節句は「菊の節句」として知られ、菊の花を飾り、菊酒を飲んで長寿を願う風習がありました。この伝統は、江戸時代初期に幕府が定めた五節句の一つとして定着し、やがて「菊祭り」として日本各地で行われるようになりました。

菊の品種改良が進み、観賞用の菊が広く流行するようになると、菊をテーマにした美術作品も多く描かれるようになりました。乾山もまた、菊をモチーフにした作品を数多く手がけ、その美しさと象徴的な意味を陶器に表現しました。この「乾山写し菊之絵酒呑」も、その一つであり、菊の図柄が優雅に描かれています。菊の花は、皇室の紋章にも使われるほど品格のある高貴な花であり、古来より「菊を飾ると福が来る」「菊を生けると良い子に育つ」といわれるほど、縁起の良い花とされてきました。

菊の花と日本美術

菊は秋の花として、日本美術において頻繁に描かれてきました。特に江戸時代に入ると「菊の節句」が盛んになり、浮世絵や屏風、扇面など、さまざまな作品に菊が登場するようになりました。菊は、その高潔な姿と不老長寿の象徴として、日本美術における主要なモチーフとなり続けました。

また、菊は世界的にも「太陽の花」として崇敬されており、ヨーロッパでは「洋菊」が親しまれています。イタリアでは名門ジュエラー「ダミアーニ」が、王妃マルゲリータに敬意を表して「マーガレット」をテーマにしたコレクションを展開しています。このように、菊は日本国内外で多くの人々に愛され、その象徴性が多様な芸術作品に反映されています。

宮川香斎家の技法とワラ灰釉

宮川香斎家は江戸時代から続く京焼の名門であり、その伝統技法を受け継ぎながらも、常に新しい試みを行ってきました。特に「ワラ灰釉」は、宮川家が代々受け継いできた独自の釉薬で、器全体にまろやかで温かみのある質感を与えています。ワラ灰釉の使用は、作品に柔らかい光沢を与えるとともに、色彩の表現に奥行きをもたらします。特に、土の種類や焼成方法によって色が微妙に変わるため、作品ごとに異なる風合いを楽しむことができます。

この「乾山写し菊之絵酒呑」にも、ワラ灰釉が用いられ、器全体に優雅で品のある質感が漂っています。青みがかった釉薬が、菊の繊細な図柄と調和し、手に取るたびにその美しさを堪能することができるでしょう。宮川家の作品は、京焼の伝統を忠実に守りつつ、独自の技術と美学を融合させたものであり、この作品もその一例として際立っています。

真葛焼と宮川家の歴史

真葛焼は宮川家によって創始された京焼の一派であり、宮川香斎家の代表的な技法の一つです。初代宮川香山が真葛ヶ原に窯を開き、真葛焼は国内外で高い評価を得るようになりました。宮川香斎家は、真葛焼を中心に多彩な陶器を制作しており、その作品はヴィクトリア&アルバート博物館やユネスコなど、多くの名だたる美術館に収蔵されています。

宮川家は約330年の歴史を誇り、時代ごとのニーズに応じて煎茶道具や茶道具を製作してきました。近年では、海外でもその美術的価値が認められ、コレクターの間で高い評価を受けています。「乾山写し菊之絵酒呑 宮川香斎」もまた、宮川家の長い歴史と技術の結晶であり、琳派の美学と京焼の伝統が見事に融合した作品です。

「乾山写し菊之絵酒呑 宮川香斎」は、琳派の影響を受けた乾山の作風を写しつつ、菊という縁起の良いモチーフを描いた品格のある作品です。ワラ灰釉の柔らかい光沢が菊の美しさを引き立て、器を手に取るたびに日本の伝統美と宮川家の技術を堪能することができます。この作品は、ただの酒器としてだけでなく、芸術品としての価値を持つ一品であり、その歴史的背景を知ることで、より深い味わいを楽しむことができるでしょう。

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