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ぐい呑み 色絵瓔珞 高橋道八

ぐい呑み 色絵瓔珞 高橋道八

通常価格 $266.00
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幅 : 6.0cm 高さ : 4.1cm

ぐい呑 色絵瓔珞 ――九代 高橋道八様

生成りの地に繊細な赤絵文様が巡る本作は、九代 高橋道八様による「色絵瓔珞(ようらく)」ぐい呑です。京焼色絵の伝統を受け継ぎつつ、装飾美の本質を現代的な感性で再構築した作品であり、掌に宿る華やぎと静謐を兼ね備えています。以下、五つの観点からその魅力を詳しくご紹介いたします。


1.造形美 ― 柔らかな丸みと安定感

形はやや浅めの碗形で、口縁がわずかに外に開き、手取りの良さと飲み口の滑らかさを両立させています。高台はやや高めに据えられ、全体の重心を安定させながら軽やかな印象を保っています。掌に収まるほどの小品ながら、均整の取れた曲線が醸す柔らかさは、まさに道八家の造形美の真骨頂といえるでしょう。


2.釉調 ― 生成り地の温もりと上絵の透明感

素地はやや黄味を帯びた生成り色で、釉薬の下に見える土肌の微細な凹凸が、温もりのある質感を生み出しています。その上に施された上絵具は、赤を基調に瑠璃・水色・金彩を織り交ぜ、透明感のある発色を見せています。釉面の艶は控えめで、光を柔らかく受け止め、穏やかな気配を漂わせます。


3.意匠 ― 瓔珞文に宿る優雅と荘厳

「瓔珞(ようらく)」とは、仏像を荘厳する宝飾を文様化したもの。寺院建築や仏具にも多く見られる格式高い意匠です。本作では、その瓔珞文を極めて繊細な筆致でぐい呑の胴部に巡らせ、点描による鎖状の連なりがリズミカルに器を囲みます。赤の文様の間に置かれた小さな菱形や涙型の装飾には青・金が差され、宗教的荘厳をやわらかく日常の中に溶かし込んでいます。


4.技法 ― 上絵付の精緻と筆運びの冴え

本作の最大の特徴は、絵付の緻密さにあります。まず素地を成形・本焼した後、低火度で上絵具を施す工程では、わずか数ミリの赤点を均等に打ち、筆を止めることなく連続的に描く高度な集中力が求められます。赤絵具の上から金彩を重ねる部分では、焼成温度の差によりわずかに光沢が浮かび、文様全体に深みが加わります。まさに「描く」というよりも「紡ぐ」と表現すべき技法です。


5.歴史的・文化的背景 ― 瓔珞文と京焼の雅

瓔珞文は奈良時代以来、仏教美術を通じて伝えられ、やがて茶陶や染付、色絵にも取り入れられた文様です。京焼では江戸後期、仁清や乾山によって“華やぎの中の静謐”を表す装飾として多用されました。九代 高橋道八様は、その伝統的意匠を現代の造形感覚と色彩理論によって再解釈し、宗教的荘厳を軽やかなリズムへと昇華しています。ぐい呑という小宇宙の中に、祈りと美の融合が息づいています。


九代 高橋道八様は、服飾意匠の学びを経て陶の道に進まれ、平成八年に八代様に師事。平成二十四年に九代を襲名されました。伝統京焼の色絵技法を受け継ぎつつも、装飾性と造形の均衡を探求する姿勢は一貫しています。

本作「色絵瓔珞ぐい呑」は、わずかな筆致に無限の気配を宿す名品。
盃に口を寄せるひととき、文様の連なりがまるで祈りの連鎖のように響き、心を静める美を感じさせます。日常の盃でありながら、まさに“祈りの器”と呼ぶにふさわしい一作です。

 

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