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青白磁銀彩香器 松川和弘

青白磁銀彩香器 松川和弘

通常価格 $1,270.00
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青白磁銀彩香器 松川和弘作(径:11.2cm 高さ:12.0cm)
――「青白の静謐に、銀の星雲が宿る。香の気配を“球体”に封じた、現代の清浄」


Ⅰ 香器という“気配の彫刻”

香器は、香を焚くための道具であると同時に、目に見えない香気を、空間の中に“かたち”として立ち上げる装置です。香は煙となって立ち、やがて消えます。しかし香器は、その一瞬の現象を受け止め、香りの濃淡・広がり・余韻を整え、茶席の呼吸を定めます。
松川和弘氏の「青白磁銀彩香器」は、香器に求められる機能を備えながら、造形としても強い完成度を示す——まさに“気配の彫刻”と呼びたくなる作品です。


Ⅱ 青白磁――白磁よりも“静けさが深い白”

2-1 青白の色調:冷たさではなく、澄み切った透明感

本作の青白磁は、真白の白磁とは異なる、わずかな青みを含んだ白です。そこには冷たさというより、むしろ水面のような澄み切った透明感があります。光を受けたとき、面の勾配に沿って淡い陰影が滑り、器体は“白”というより光の層として立ち上がります。
香という不可視のものを扱う道具において、青白磁のこの清澄さは非常に相性が良く、置いた瞬間から空間の温度をわずかに下げ、場を整える力を発揮します。

2-2 球体に近い量感が生む、呼吸の安定

本作は、球体に近いふくらみをもつ胴が印象的です。角のない量感は、視線を滑らせ、気持ちを落ち着かせます。茶席において丸みはしばしば“和らぎ”を象徴しますが、松川和弘氏の丸みは甘さではなく、緊張を内包した均衡として成立しています。香が立ち上る前から、器体がすでに静けさの基準点となる——その造形の力が感じられます。


Ⅲ 銀彩――月光のように、静かに光る“もう一つの肌”

3-1 銀彩の役割:装飾ではなく、時間を映す皮膜

本作の銀彩部分は、単なる華やかな装飾ではありません。銀は光を強く反射する一方で、光源や見る角度によって表情が大きく変わり、時に沈み、時にきらめきます。つまり銀彩は、器に時間(照明・夕暮れ・夜の灯)を写し込む皮膜です。
青白磁の静けさに対して、銀彩は“微光”として呼応し、香器全体に
月のような気配
を与えています。昼は清澄、夜は幽玄。場の条件によって表情が変わる点も、本作が道具として飽きない理由でしょう。

3-2 細やかな凹凸が生む、星雲のような景色

銀彩面には、きわめて細かな粒子状の表情が広がっています。均一な鏡面ではなく、微細な起伏をもつことで、光が点々と散り、星雲のような拡がりを帯びます。滑らかな青白磁の“静”に対し、銀彩の“ざわめき(ただし極小の)”が一面に存在し、作品は二つの時間——静止と微動——を同時に抱えます。


Ⅳ 造形と機能――香が“整って”立ち上がるために

4-1 蓋と透かし:香気の流れを調律する

上部には摘み付きの蓋が設けられ、さらに透かし(火舎の開口)が香の抜けを導きます。香は強く噴き上げれば良いのではなく、細く、均質に、静かに立ち上がることが最も美しい。本作の透かしは、香気の流れを整え、香りが場に広がる速度を穏やかにします。
香器は“香りそのもの”ではなく“香りの出方”を支配する道具です。その意味で、この設計は非常に理にかなっています。

4-2 三つの脚:床から少し離すことで得られる清浄

底部は三つの脚で支えられ、器体がわずかに床面から浮きます。この「少し浮く」ことが、香器には決定的に効きます。香の気配は上へ立つものですが、器体が床から離れることで、視覚的にも心理的にも、香の立ち上がりがより自然に感じられるのです。
同時に、脚が影をつくり、球体の量感に軽やかな陰影の締まりを与えています。静かで、しかも強い——この両立は、脚部の設計によって支えられています。


Ⅴ 歴史との響き合い――青白と銀、清浄の系譜

青白磁は、白磁の系譜の中でもとりわけ“澄み”を感じさせる領域です。そこに銀彩という現代的な要素が加わることで、本作は古典の清浄さを踏まえながらも、現代の空間にふさわしい緊張を獲得しています。
茶の湯は、金銀をいたずらに誇示する世界ではありません。しかし、必要最小限の光——たとえば月のひかりのような——を一点に宿すことは、むしろ静けさを深めます。本作の銀彩はまさにその在り方で、青白磁の沈黙を壊さず、静けさの中に“一筋の微光”を差し込みます。


Ⅵ 作家について――松川和弘(略歴・展覧会歴・受賞歴)

松川和弘氏は、奈良芸術短期大学で陶芸を学ばれ、京都府立陶工高等技術専門校修了後、近藤高弘氏に師事されました。2006年に独立し、河内長野市にて開窯。以降、百貨店・美術館を含む個展歴を重ね、第55回日本伝統工芸展にて日本工芸会総裁賞を受賞されるなど、確かな評価を築いてこられました。青白磁の静謐、銀彩の微光、造形の精度——それらを過不足なく統合する手腕は、長年の研鑽と審美眼の結晶と言えるでしょう。

略歴

1977 大阪府河内長野市生まれ
1998 奈良芸術短期大学陶芸コース卒業
2000 奈良芸術短期大学専攻科修了
2001 京都府立陶工高等技術専門校修了
   近藤高弘氏に師事
2006 独立・河内長野市にて開窯

主な個展・展覧会

2007 京都府美術工芸新鋭選抜展(京都文化博物館)
   二人展(松坂屋名古屋店美術画廊/名古屋)
   個展(京都高島屋美術工芸サロン/京都)
2008 個展(カンパニュール/千葉)
   個展(パラミタミュージアム小ギャラリー/三重)
2009 個展(ギャラリーエスパス/名古屋)
2010 個展(札幌三越美術ギャラリー/北海道)
   個展(松坂屋名古屋店美術画廊/名古屋)
   個展(アルパーク天満屋美術画廊/広島)
2011 個展(陶器ギャラリー風露/大阪)(’07)
2012 個展(ギャラリーおくむら/東京)(’07 ’09)
2013 個展(ラブリーホール開館20周年記念事業/大阪)
2014 個展(天満屋広島八丁堀店アートギャラリー/広島)(’11)
2016 個展(天満屋福山店アートギャラリー/広島)(’08 ’12)
   三人展(博多阪急ミューズ/福岡)
2017 個展(ピナコテーカ/東京)(’14 ’15)
   個展(天満屋岡山店美術ギャラリー/岡山)(’08)
   個展(アトリエヒロ/大阪)
2018 個展(日本橋三越本店美術ギャラリー/東京)
   個展(髙島屋大阪店ギャラリーNEXT/大阪)(’08 ’11 ’15)
2020 個展(花あさぎ/東京)
2021 個展(ギャラリーたちばな/奈良)(’15 ’17 ’19)
2022 二人展(花あさぎ/東京)
2023 二人展(アトリエヒロ/大阪)
2025 二人展(花あさぎ/東京)
   個展(緑ヶ丘美術館/奈良)

受賞歴

第36回日本伝統工芸近畿展(大阪府教育委員会賞)
第55回日本伝統工芸展(日本工芸会総裁賞)

パブリックコレクション

緑ヶ丘美術館


まとめ

青白磁銀彩香器 松川和弘作は、青白の清澄さと銀彩の微光を、球体に近い造形へと統合した香器です。静けさを深め、光を映し、香の立ち上がりを整える。茶席に置けば、香の気配が過剰に主張することなく、しかし確かに空間の輪郭を澄ませ、客人の五感をそっと開いてくれることでしょう。

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