辰砂茶盌2 藤平伸
辰砂茶盌2 藤平伸
幅14.5cm ×14.5cm 高さ10cm
丸みを帯びた包容力のある姿
藤平伸様の「辰砂茶盌」は、その丸みを帯びたフォルムが包容力を感じさせます。この造形は、手に持つと自然と両手で包み込みたくなるような温かみを帯びています。茶盌全体から放たれる穏やかさが、使い手の心に静けさと癒しをもたらします。
辰砂の不思議な色彩とオーラ
辰砂釉の豊かな色彩は、仄かに透ける赤色が独特の深みと神秘性を醸し出しています。この茶盌を眺めていると、色彩の変化が作り出す微妙な表情に魅了され、不思議なオーラを感じ取ることができます。これは藤平様の詩情豊かな感性が反映されたものであり、単なる器を超えた芸術作品としての価値を感じさせます。
轆轤と手びねりの融合
藤平伸様は普段轆轤をあまり使わないことで知られていますが、この茶盌の制作においては轆轤を使用しつつも、独自のアプローチを採用しています。胴体は轆轤で成形しながらも、高台部分は手びねりで追加しています。このように轆轤と手びねりの技法を組み合わせることで、固さと柔らかさを絶妙に両立させています。藤平様は、「轆轤は機械なので固さが出る。一方で手びねりではスカっとした歯切れの良さが出しにくい。両方の良さを取り入れた」と語り、その技術の工夫が作品に生きています。
茶陶への挑戦と遊び心
藤平様は長らく茶陶を手がけていませんでしたが、1993年の京都・茶道資料館での個展「藤平伸 ―茶陶に遊ぶ」をきっかけに、茶陶制作を始めました。この展覧会は林屋晴三氏の提案により実現し、「好きなようにやってみよう」という藤平様の自由な発想のもと生まれた茶陶作品群が展示されました。特有の遊び心と、素材や技法に対する実験精神が、「辰砂茶盌」にも色濃く反映されています。
藤平伸様の陶芸人生と作風
京都・五条坂で製陶業を営む家に生まれました。清水六兵衛に師事し、器物に加え詩情あふれる陶彫も手がけた藤平は、「陶の詩人」と呼ばれる独特の境地を切り開きました。作品には、漢代や唐代の明器から着想を得た彫刻的な要素や、線描や刻線を駆使した軽妙な装飾が見られます。また、「遊び」を大切にした彼の姿勢は、器や陶彫の作品に生き生きと反映されています。
辰砂釉茶盌の魅力
辰砂釉茶盌は、深みのある緋色が持つ温かみと優しさで、使う人の心を捉えます。希少性の高い辰砂釉を巧みに使いこなし、独特の柔らかくも重厚な質感を生み出しました。この茶盌を手に取ると、その美しさに思わず見惚れ、自然と両手で包み込みたくなる気持ちにさせられます。「辰砂茶盌」は、独自の技法と詩情あふれる感性が融合した、陶芸作品としても茶道具としても優れた一品です。丸みを帯びたフォルム、辰砂釉の深みある色彩、轆轤と手びねりの融合による独創的な形状が、見る者・使う者の心を捉えます。自由かつ詩情豊かで洒脱な創作姿勢は、この茶盌においても存分に表現されています。
藤平伸様 来歴
1944 京都高等工芸学校に入学 病気のため中途退学
1945 藤平陶芸にて作陶
1957 第13回 日展にて特選・北斗賞受賞
1960 イタリア・フィレンツェ国際陶芸展
1963 第6回新日展にて菊花賞受賞 京都府文化功労賞受賞
1968 現代陶芸の新世代展 陶芸の現在-京都から展
1970 現代の陶芸ヨーロッパと日本展
1973 日本陶磁協会賞受賞
1974 中南米巡回展
1976 東独巡回日本陶磁名品展
1978 西ドイツ巡回日本陶磁名品展
1982 アメリカ・カナダ巡回展
1983 現代日本の工芸展
1985 現代日本美術の展望展
1990 京都美術文化大賞受賞
1991 京都市文化功労賞受賞
「本作品は未使用の新作です。現在、藤平伸記念館で保管されています。ご購入の際はご子息である藤平寧様が真作の証明として共箱を制作いたします」
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【陶器をご購入の際のお願い】
作品ごとに、出来るだけ詳細をご確認いただけるように画像を掲載しておりますが、ご不明な点はお問い合わせください。
作品の色合いなどは、画像を表示する環境により若干異なることがございますが、ご理解の程お願いいたします。
作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。