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白釉稜線香炉 岡田優

白釉稜線香炉 岡田優

通常価格 $1,145.00
通常価格 セール価格 $1,145.00
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幅 : 11.6cm 高さ : 11.7cm

「白釉稜線香炉」岡田優様 ― 風を抱く蓮華形、静けさを映す白

岡田優様の《白釉稜線香炉》は、蓮華(れんげ)を思わせる外反りの口造りと、滴形(しずくがた)の銀色摘みが印象的な一作です。三脚(みつあし)で軽やかに浮かび上がる胴は、ごく淡い稜線によって四瓣(よつべん)に区切られ、香煙が生む空気の揺らぎを静かに映し出します。以下、歴史・技法・意匠・精神性・香席活用の五章で、本作の美学を掘り下げてまいります。


1. 歴史的背景 ― 蓮華と香炉のシンボリズム

蓮華の意匠:蓮は浄土思想における清浄の象徴であり、古来、仏具や香炉の蓋飾りに多用されてきました。外反りの口縁が花弁を開く姿を連想させる本作は、その伝統を現代的ミニマルフォームへ昇華しています。

三脚香炉の系譜:青銅器「鼎(かなえ)」や唐物香炉に見られる三脚は、安定性と瑞祥を兼ね備える意匠として、茶室・聞香の場で尊ばれてきました。岡田優様は、三脚を滴状に整形することで、古格と柔和さを同時に表現しています。


2. 技法と素材 ― 純白の肌理と銀彩摘みの競演

 本作の胎土には、半磁胎に磁器土を三割だけ配合するという岡田優様独自のブレンドが施されています。この配合比率により、高火度で焼成しても歪みを最小限に抑えつつ、曲面にみずみずしい張りを生み出す狙いがございます。

 稜線彫りの工程では、カンナを用いて器体を四等分する面取りを一気呵成に行い、稜線を「視覚よりも触覚で感じ取れる」ほど絶妙な高さへと調整しています。これにより、器を手に取った際の触感そのものが鑑賞体験の一部となるよう設計されております。

 施釉では、珪酸長石を主体にごく微量の酸化チタンを加えた半艶白釉を掛け、還元焼成で仕上げています。この釉調は光をやわらかく散乱させ、蓮華口の陰影を静かに浮かび上がらせることで、造形の抑揚を一層引き立てます。

 摘みには銀彩を施した滴形の意匠を採用し、指当たりを滑らかに調整すると同時に、開閉の際に涼やかな金属音が響くように仕上げられています。以上の各工程において、岡田優様の細部へのこだわりと、美感と機能性を両立させる卓越した技術が凝縮されています。

3. 意匠解読 ― 蓮華口・四瓣胴・滴形摘み

蓮華口(外反り口造り)
口縁を外へ水平に開くことで、香煙が360度へ水平拡散。視覚的には“水面に浮く花弁”を想起させ、香室に静穏な波紋を広げます。

四瓣胴と稜線
ごく浅い稜線が胴を四瓣に分割し、光と影にリズムを生みます。これは唐三彩香炉の菱花形を思わせつつ、ミニマルに抽象化されたモダンデザインです。

滴形銀摘み
一滴の露を模した銀彩は、白磁の中に一点のクールな輝きを添え、金属と陶土の異素材対比を象徴的に示します。


4. 精神性 ― “白の余白”と“香の無限”

白は禅の「無」、香は形なき「有」。岡田優様は両者を結びつけ、**「無の器に有を宿す」**という逆説を体現しました。

白釉は、使い手の時間とともに僅かな手脂や香の油分を受け取り、光沢に深みを帯びます。

銀摘みは酸化と磨き直しを繰り返し、時を刻むパティナ(経年膜)を育てます。
こうして器は、香を焚くたびに微細な変化を積層し、**“時間の香”**を纏う存在へと育っていきます。


まとめ

《白釉稜線香炉》は、蓮華の清浄・三脚の古格・銀滴の現代性を一体化した香炉です。

外反り口と四瓣胴が香煙の流れを演出し、白釉の余白が季節と光を映し、銀摘みが時の流れを刻む――。

茶室はもちろん、現代建築やミニマルアート空間に置いても、**「静かな中心点」**として人々の感性を研ぎ澄ませることでしょう。— 無垢なる白に、香と時間が色づく。
その哲学が、使い手の心と静かに交差し、深い余韻を紡ぎ続けます。

略歴  
京都、清水五条に生まれる  
京都府立陶工訓練校成形科、京都市立工業試験場研修生を経て  
走泥社同人河島浩三氏の下で三年間陶技全般を学ぶ  
1987年、宇治市炭山にて独立、築窯  
2018年より 日本伝統工芸近畿展、鑑査審査委員  
2022年 日本伝統工芸陶芸部会展、鑑査審査委員

〈主な入選〉  
日本伝統工芸展、日本陶芸展  
菊池ビエンナーレ、  
茶の湯の現代展  
長三賞陶芸展、陶美展、  
益子陶芸展、  
伊丹国際クラフト展  
萩大賞展、  
神戸ビエンナーレ  
現代陶芸コンペティション、等

〈主な受賞〉  
1998年、使ってみたい北の菓子器展(優秀賞)  
2002年、京焼、清水焼展(KBS京都放送賞)  
2003年、BONSAIの器展(奨励賞)  
2008年、日本伝統工芸近畿展(日経新聞社賞)  
2009年、おおたき北海ライブ陶器展(NHK放送賞)  
2010年、おおたき北海ライブ陶器展(北海道新聞社賞)  
2012年、京都美術工芸ビエンナーレ(大賞)  
2013年、日本伝統工芸陶芸部会展(日本工芸会賞)  
 神戸ビエンナーレ現代陶芸展(準大賞)  
2014年、光州ビエンナーレ招待出品  
2016年、大阪工芸展(美術工芸大賞)  
2019年、大阪工芸展(準大賞)  
2022年、有田国際陶磁展(大賞、文部科学大臣賞)、等

現在、公益社団法人日本工芸会正会員、陶芸美術協会会員
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