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茶盌 立鶴 高橋道八

茶盌 立鶴 高橋道八

通常価格 $2,215.00
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幅 : 11.2cm 高さ : 9.1cm

端正な白釉の肌に、細筆で一羽の鶴を描いた本作「立鶴茶盌」は、九代 高橋道八様による清廉な美意識を象徴する作品です。
無駄を削ぎ落とした造形の中に、静謐と気品、そして「生命の気」が確かに息づいています。


1.造形美 ― 凛とした立ち姿に呼応するフォルム

盌形はやや高めの腰と控えめな口反りをもつ直線的な輪郭で、全体として凛とした緊張感を湛えています。
高台はやや高く切り上げられ、引き締まった印象を与える一方、手に取ると軽やかで安定した重心を感じます。
掌に収まる造形の均衡と、立つ鶴の姿の気高さが呼応するように設計された構成です。


2.釉調 ― 白釉の静けさに潜む温度

全体を包む白釉はやや灰を含み、やわらかく青みを帯びた乳白色を呈しています。
表面には微細な貫入(かんにゅう)が走り、光を受けると繊細な陰影が浮かびます。
釉の溜まりには淡いグレーの濃淡が現れ、まるで早朝の霞の中に立つ鶴の姿を想起させるような、詩的な静寂を醸し出しています。


3.意匠 ― 一筆に宿る清浄の気

胴部には、極めて簡潔な筆致による「立鶴」が一羽。
頭部から胴、脚に至るまで最小限の線で表現され、余白を生かすことによって見る者の心に静かな余韻を残します。
この鶴は、長寿や吉祥の象徴であると同時に、「気高く、静かに立つ」姿そのものが人の理想像を映しています。
白釉の静謐な世界に墨絵のごとく浮かぶ姿は、道八様ならではの“描かぬ美”の極致といえるでしょう。


4.技法 ― 釉下描きと鉄絵の融合

鶴の姿は、鉄絵具による釉下描き(ゆうかえがき)によって表現されています。
焼成後、鉄分が酸化し、線の部分は焦げ茶に発色。白釉の中で柔らかく沈み込みながらも、輪郭には確かな存在感を残しています。
また、釉薬の厚みを微妙に変化させることで、鶴の周囲にわずかな光の滲みが生まれ、絵画的な奥行きを与えています。


5.歴史的・文化的背景 ― 鶴の意匠と茶の湯の象徴性

「鶴」は古来より吉祥文様の代表格として、延命長寿・平安・清廉を象徴する存在です。
茶の湯においても、鶴亀・松竹梅は慶事や節句の茶席にしばしば用いられ、特に白鶴の意匠は“清浄なる心”を表すものとして尊ばれてきました。
九代 高橋道八様は、その象徴性を過度に装飾せず、線と余白の緊張によって再構築。
古典の文様を現代の静謐な感性に昇華した、本シリーズの中でも格別に洗練された一作です。


6.高橋道八家の系譜と作風

高橋道八家は江戸後期より京焼の名門として知られ、色絵や染付の洗練を極めてきました。
九代様は、服飾意匠の学びを経て陶の道に入り、平成八年に八代様に師事、平成二十四年に九代を襲名。
伝統京焼の造形感覚と現代的なデザイン性を融合し、「静謐・均衡・余白」を核とする作風を確立されています。


本作「茶盌 立鶴」は、清浄無垢の白釉に一筆の鶴を配した、極限の省略と美の均衡が息づく名碗です。
手に取ると、釉肌のやわらかな温度とともに、鶴の立つ静けさが心に広がるでしょう。
祝いの茶席はもとより、日常の一服においても、心を鎮め、気を正すひとときをもたらしてくれる逸品です。

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