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白釉稜線水指 岡田優

白釉稜線水指 岡田優

通常価格 $2,137.00
通常価格 セール価格 $2,137.00
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税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。

幅 : 17.0cm  高さ : 17.2cm

「白釉稜線水指」岡田優様 ― 静謐と緊張が共存する現代の“白”

白一色でありながら、見る者に強い存在感を残す――岡田優様の《白釉稜線水指》は、そんな静かな迫力をもつ作品です。茶道具の水指としての機能美と、現代陶芸ならではの造形美が高次元で融合し、まるで余白の美を語りかけるように佇んでおります。以下、本作の魅力を 歴史・技法・意匠・精神性 の四つの切り口で詳しくご紹介いたします。


1. 歴史的背景と水指の役割

水指(みずさし)は、茶釜に差す“生水”を蓄える器であり、茶席における〈清浄〉と〈節度〉を象徴いたします。室町期に唐物(からもの)の青磁水指が珍重された流れを汲みつつ、桃山期には楽茶碗と呼応する形で国焼の水指が台頭しました。江戸中期以降は、京焼を中心に意匠と材質の多様化が進み、 共蓋(器と同じ素材の蓋)か 塗蓋(木や漆の別作蓋)かが取り合わせの妙として語られてきました。

岡田優様は、そうした伝統を踏まえつつも、白釉という“無垢のキャンバス”を選択し、稜線を意図的に走らせることで、ミニマルかつ造形的な挑戦を試みておられます。


2. 技法と素材 ― 純白が生む繊細な陰影

2–1 白釉の調合

本作の白釉は、長石分を抑えた半磁胎に珪酸を主体とする艶消し系の調合を施し、1,270℃前後で還元焼成することで、雪のようなマット質感と、わずかに透ける温かなクリーム色を両立させています。光を柔らかく散らすため、茶席の幽かな行灯(あんどん)光でも存在を主張しすぎず、道具組に自然と溶け込みます。

2–2 稜線(りょうせん)の彫り出し

胴部に走る曲線は、成形後にカンナで“一息に”削り出され、乾燥~素焼きの収縮差を計算して緊張感を残す幅に調整されています。この細く凛としたラインが、球体にわずかな歪みを与え、静的なフォルムに動的リズムを与えている点が秀逸です。


3. 意匠 ― 月を想わせる球体と一閃の線

球形への志向
李氏朝鮮の“月壺”を思わせる丸みを帯びた胴は、茶室の四畳半という限られた空間で、宇宙的な広がりを示唆します。上部をやや絞りこむことで、水面が見えにくくなり、生水の“深み”を心理的に強調しています。

ライン(稜線)の効果
ひと筋だけの削り線は、白磁における“余白と筆跡”の対比にも似て、観者の視線を導く道標となります。蓋を開け閉めする所作に合わせて線がわずかにずれ、一期一会の表情をつくり出す点は、岡田様の「茶の動きまで含めて完成させる」という思想の表れと言えるでしょう。


4. 精神性と現代性

岡田優様は、ミニマルアートに通じる造形を土と炎で実現し、**“侘び”と“静謐な緊張”を同居させています。白釉は無垢であるがゆえに、手指の脂や水滴の跡が僅かに浮き上がり、使い手の時間をしっとりと吸収していきます。これは、次第に景色を深める茶碗の貫入とは逆に、“痕跡が刻まれる余白”**とも呼ぶべき新しい時間軸の提案です。


5. 茶席での取り合わせ例

本作は季節ごとに異なる景色を呼び込み、主茶碗や花入の趣向を一段と際立たせます。


早春

青瓷筒茶碗の翡翠色に、薄口の竹一重切へ挿した紅白梅がほのかな彩りを添えます。そこへ本作の白釉が淡雪のように溶け込み、まだ冷たい空気の中に春の兆しをそっと告げます。梅の香りが漂う席で、白の柔らかな光沢が芽吹き前の静けさを映し出し、季節の移ろいを一層鮮明にいたします。

盛夏

瀬戸黒井戸写の深い黒と、露を宿した露草を活けたガラス小壷が涼感を演出するなか、本作のマットな白がひんやりとした視覚的清涼剤となります。黒と白の強い対比が生み出す陰翳は、真夏の強い日差しを忘れさせるほどに爽やかな余韻をもたらし、客前に凛とした涼を届けてくれます。

仲秋

丹波窯変茶碗の渋い景色と、すすき・女郎花の取り合わせが月夜の野を思わせる席では、本作の白い姿がまるで満月のように静かに輝きます。自然釉のわずかな流れ模様が月光に溶け込み、窯変茶碗の土味と呼応して幽玄の趣を深めます。秋草の揺らぎとともに、しみじみとした月見の情緒を演出する名脇役となります。


まとめ

《白釉稜線水指》は、伝統的茶道具の文脈に確かな根を下ろしつつ、現代陶芸だからこそ表現し得る削ぎ落としの美を体現しています。茶席のみならず、現代建築のギャラリースペースやホテルロビーに据えても、静かに空間を統御する力を持つでしょう。

一点一点の線と面に、茶人と鑑賞者の時間が沁み込む――
そんな未来を想起させる器です。

ご寸法や価格、共箱の銘など詳細情報がお決まりでしたら、追記してさらに深堀りすることも可能です。どうぞお気軽にお申し付けくださいませ。

略歴  
京都、清水五条に生まれる  
京都府立陶工訓練校成形科、京都市立工業試験場研修生を経て  
走泥社同人河島浩三氏の下で三年間陶技全般を学ぶ  
1987年、宇治市炭山にて独立、築窯  
2018年より 日本伝統工芸近畿展、鑑査審査委員  
2022年 日本伝統工芸陶芸部会展、鑑査審査委員

〈主な入選〉  
日本伝統工芸展、日本陶芸展  
菊池ビエンナーレ、  
茶の湯の現代展  
長三賞陶芸展、陶美展、  
益子陶芸展、  
伊丹国際クラフト展  
萩大賞展、  
神戸ビエンナーレ  
現代陶芸コンペティション、等

〈主な受賞〉  
1998年、使ってみたい北の菓子器展(優秀賞)  
2002年、京焼、清水焼展(KBS京都放送賞)  
2003年、BONSAIの器展(奨励賞)  
2008年、日本伝統工芸近畿展(日経新聞社賞)  
2009年、おおたき北海ライブ陶器展(NHK放送賞)  
2010年、おおたき北海ライブ陶器展(北海道新聞社賞)  
2012年、京都美術工芸ビエンナーレ(大賞)  
2013年、日本伝統工芸陶芸部会展(日本工芸会賞)  
 神戸ビエンナーレ現代陶芸展(準大賞)  
2014年、光州ビエンナーレ招待出品  
2016年、大阪工芸展(美術工芸大賞)  
2019年、大阪工芸展(準大賞)  
2022年、有田国際陶磁展(大賞、文部科学大臣賞)、等

現在、公益社団法人日本工芸会正会員、陶芸美術協会会員
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    作品の色合いなどは、画像を表示する環境により若干異なることがございますが、ご理解の程お願いいたします。

    作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。

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