ワラ灰釉春の夜茶碗 宮川香斎
ワラ灰釉春の夜茶碗 宮川香斎
高さ :7.0cm 幅 : 12.0cm
春の夜の静寂と風情を象徴する抹茶碗であり、繊細な美しさと茶道具としての品格を備えた作品です。茶碗の内には、茶巾摺のあたりにほのかに浮かぶ月の模様が描かれており、春の夜の穏やかで静かな雰囲気を感じさせます。この月の模様は茶碗の静かな美を引き立て、抹茶碗としての実用性と芸術性の両方を兼ね備えています。
ワラ灰釉の美しさと特徴
宮川香斎家特有の「ワラ灰釉」が、この茶碗全体にたっぷりと施されています。ワラ灰釉は、稲のワラを焼いて灰にしたものを釉薬として使用し、柔らかで青みがかった乳白色を持つ独特の風合いが特徴です。この釉薬は、真葛焼における宮川家の長い歴史を象徴するものであり、代々受け継がれてきた貴重な技法です。
ワラ灰釉は、土や焼成の温度によって異なる表情を見せる釉薬です。この「春の夜茶碗」では、まろやかな乳白色の中にほのかに青みが差し込み、まるで春の夜空に浮かぶ月のような幻想的な雰囲気を醸し出しています。この気品と柔らかな色合いこそ、真葛焼の魅力の一つです。
真葛焼の歴史と宮川家の技法
真葛焼は、京焼の伝統的な技法を受け継いでおり、その中でも特に特徴的な技法の一つがこの「ワラ灰釉」を用いた作品です。この釉薬の技法は、もともとは京焼の始祖である野々村仁清が用いていたものですが、真葛焼の名工である宮川長造がこの技法をさらに発展させました。以降、真葛焼の作品にはワラ灰釉が頻繁に用いられ、宮川家の代表的な技法として受け継がれてきました。
真葛焼の歴史は、江戸時代の貞享年間(1684~1687年)にさかのぼります。祐閑宮川小兵衛政一が知恩院門前で陶芸を始めたことから始まり、宮川家は330年以上にわたって陶芸の技術を受け継いできました。長造や香山といった名工たちが宮川家を支え、茶道具や煎茶道具など、時代に応じた作品を制作し続けています。
茶道具としての意義と役割
「ワラ灰釉春の夜茶碗 宮川香斎」は、単なる美術品ではなく、茶道具としての実用性を備えた一品です。抹茶碗として、茶道の儀式において使用されることを意識して作られており、その柔らかな質感と気品は、茶席での使用時に一層の風情を感じさせます。特に、茶碗の表面に浮かぶ月の模様は、茶席において鑑賞の対象となり、茶室の雰囲気を一層引き立てます。
国際的な評価と未来への継承
宮川家の真葛焼作品は、国内外で高く評価されており、「ワラ灰釉春の夜茶碗」もその一例です。宮川香斎の作品は、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館やパリのユネスコ日本政府代表部に収蔵されており、世界中の茶道愛好者から注目を集めています。330年にわたる真葛焼の伝統と技術は、未来の世代へと受け継がれ続け、これからも多くの人々に愛されることでしょう。「ワラ灰釉春の夜茶碗 宮川香斎」は、宮川家が誇るワラ灰釉の技法と、春の夜の静かな美しさを表現した一品です。この抹茶碗は、茶道具としての実用性だけでなく、芸術品としての価値も高く、鑑賞者に深い感動を与える作品です。真葛焼の伝統を受け継ぎ、未来に残る名品として、今後も多くの茶道愛好者に愛され続けることでしょう。
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作品ごとに、出来るだけ詳細をご確認いただけるように画像を掲載しておりますが、ご不明な点はお問い合わせください。
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作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。