灰釉掛分ぐい呑み　西端正

高さ :7.0cm　幅 : 6.6cm  　奥行6.6cm 

ご紹介

灰釉掛分ぐい呑みは、丹波焼の伝統を踏まえつつ、現代の洗練された施釉陶の美しさを持つ作品です。草木の灰で作られた釉薬を用いた灰釉が掛け分けられ、そのハーモニーが見る者の心を捉えます。

灰釉の特徴と美しさ

灰釉とは、草木の灰で作られた釉薬のことで、柞灰類、土灰類、藁灰類の3種に大別されます。柞灰類は楢や栗の木の皮から作られ、淡青の釉薬となり、土灰類は淡青緑、藁灰類は乳白色の釉薬となります。このぐい呑みでは、それぞれの灰釉が見事に掛け分けられ、美しい色のコントラストを生み出しています。

丹波焼の伝統と施釉陶の歴史

丹波焼といえば伝統の焼締め陶という認識が一般的ですが、実際には江戸初期以来、施釉陶の歴史もあります。江戸初期には、小堀遠州の好みを受け入れた優れた茶陶が焼かれていた歴史があり、今回の作品もその伝統を引き継いでいます。丹波焼の伝統と現代の技法が融合した洗練された作品となっています。

掛分けられた釉のハーモニー

このぐい呑みの最大の特徴は、灰釉が掛け分けられた美しさにあります。これ見よがしに技法を見せるのではなく、地味でありながらもどこか心を捉える美しさがあるのが魅力です。灰釉の淡青、淡青緑、乳白色が互いに調和し、見る者に落ち着いた印象を与えます。

手取りの良さ

細部にまで配慮が行き届いています。手取りの重さはこの種の器として非常に手頃であり、使用する際の快適さを感じさせます。現代工芸が「用即美」の理念から逸脱しつつある中で、この作品はその理念をしっかりと守り、落ち着きのある美しさを持っています。

匠の技術と芸術性

灰釉掛分ぐい呑みは、西端様による卓越した技術と芸術性が結集した作品です。灰釉の掛け分け技法を駆使し、その美しさを最大限に引き出すための焼成技法は、職人の長年の経験と努力の賜物です。手に取ることで、丹波焼の伝統と革新を同時に感じることができるでしょう。

特別な時間を演出

このぐい呑みは、茶の湯や食事の時間を一層特別なものにします。その落ち着いた美しさと実用性が、食卓や茶席に格別な雰囲気をもたらし、心地よい満足感を与えます。使用するたびに、その美しさと機能性に魅了されることでしょう。

永続する価値

灰釉掛分ぐい呑みは、時を経てもその美しさを保ち続けます。使い込むほどに風合いが増し、次第に愛着が深まることでしょう。長く愛用できる逸品として、一生の宝物となること間違いありません。

この灰釉掛分ぐい呑みは、丹波焼の伝統と現代の技法が見事に融合した至高の芸術作品です。その落ち着いた美しさと存在感は、茶の湯のひとときを特別なものにしてくれます。また、オブジェとしての美しさと実用性を兼ね備えており、あらゆる場面でその魅力を楽しむことができます。12

西端正　略歴

昭和二十三年 二月二十四日生
昭和四十四年 作陶を始める
昭和五十一年 兵庫県展奨励賞
昭和六十一年 日本伝統工芸展初入選
昭和六十三年 日本伝統工芸展入選 日本伝統工芸展日本工芸会総裁賞
平成元年 日本陶芸展入選半どんの会 乃川記念賞
平成三年 日本伝統工芸展入選 日本陶芸展入選 茶の湯の造形展大賞
平成四年 日本伝統工芸展入選 茶の湯の造形展優秀賞 兵庫県新進芸術家奨励賞 NHK主催 パリ―日本の陶芸 「今」一〇〇選招待出品 茶の湯の造形展優秀賞
平成五年 日本伝統工芸展入選 個展 そごう広島店 京都シュマン
平成六年 日本伝統工芸展入選 個展 日本橋三越本店
平成七年 日本伝統工芸展入選 個展 そごう広島店
平成八年 日本伝統工芸展入選 茶の湯の造形展優秀賞 個展 日本橋三越本店 
平成九年 茶の湯の造形展奨励賞
平成十年 日本伝統工芸展入選 個展 日本橋三越本店 日本伝統工芸展入選
平成十二年 個展 日本橋三越本店 個展 福岡三越
平成十三年 ギャラリー堂島 日本伝統工芸展入選
平成十四年 個展 日本橋三越本店 個展 ギャラリー堂島
平成十五年 個展 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン
平成十六年 父子展 そごう広島店 茶の湯の造形展大賞
平成十七年 明石市立文化博物館・兵庫のやきもの展出品 赤土部臺買上 兵庫陶芸美術館 個展 ギャラリー堂島 日本橋三越本店
平成十八年 茶の湯の造形展大賞　日本伝統工芸展入選 ボストン美術館及び ニューヨークジャパンソサエティギャラリー 個展 横浜高島屋 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン 父子展 松山高島屋
平成十九年 陶俊会展 そごう横浜店 茶の湯の造形展奨励賞 日本伝統工芸展入選
平成二十年 日本伝統工芸展入選 個展 横浜高島屋 日本橋三越本店 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン 陶俊会展 船橋 西武 そごう広島店 日本陶芸展招待出品
平成二十一年 個展 ギャラリー堂島 仙台三越
平成二十二年 そごう神戸店 智美術館大賞展現代の茶 出品 個展 横浜高島屋 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン
平成二十三年 日本陶芸展招待出品 個展 アメリカ・ニューヨーク・ジョーンBマービス 日本陶芸展招待出品
平成二十五年 菊池寛実記念智美術館『現代の名碗”出品 個展 日本橋三越本店 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン ギャラリーミヤザキ そごう神戸店 千葉そごう
平成二十六年 個展 個展 日本橋三越本店
平成二十七年 兵庫県文化賞受賞
平成二十八年 東広島市立美術館 生活を彩る陶―食の器 出品 アメリカ・ニューヨーク・ジョーンBマービス
平成二十九年 四十周年記念展出品 
平成三十年 個展 日本橋三越本店