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双蜻花入 小川文齋

双蜻花入 小川文齋

通常価格 $1,565.00
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幅 : 21.0cm×11.0cm 高さ : 31.0cm

双蜻花入(そうせい はないれ)― 六代 小川文齋(興)作

一対の蜻蛉(とんぼ)が軽やかに羽ばたきながら、まるで時を超えて舞い降りたかのように、両肩に広がる美しい造形。六代 小川文齋様による「双蜻花入」は、写実と装飾、伝統と遊び心が見事に溶け合う、まさに“和と飛翔”の象徴ともいえる花入です。見る者の目を引きつける大胆な構成と繊細な表情が共存する本作は、現代陶芸の中でもひときわユニークな存在感を放っています。


生きた造形としての「とんぼ」

本作最大の見どころは、何と言っても両肩に配された「双蜻」の装飾。立体的に飛び出すかのようなフォルムは単なる意匠にとどまらず、陶器という静的な素材に“生命のリズム”を吹き込んでいます。細やかな文様が施された羽根は、一見幾何学的でありながら、どこか手作りの温もりも宿し、蜻蛉の翅が陽光を受けて煌めく様を想起させます。

小川文齋様にとって「とんぼ」は、決して偶然のモチーフではありません。幼少期より父・五代文齋の作品に馴染み、その代名詞であった「赤」を継がず、「緑」に魅せられてきた六代目は、やがて一匹のとんぼとの邂逅をきっかけに、その存在を自身の作品の象徴とするに至ります。

ある日、庭に舞い込んできたとんぼが、まるで語りかけるように指に止まり、「遠慮せんと使えよ」と亡き父の声が心に響いたというエピソード。それをきっかけに作品には次々ととんぼが現れ始め、本作「双蜻花入」はその集大成とも言える造形美を誇ります。


優美とユーモアの同居

作品全体は細身のフォルムでありながら、腰のくびれと裾広がりのバランスが絶妙で、視覚的にも安定感を与えています。淡い褐色の肌合いは、土のぬくもりを感じさせる素朴さを持ちつつ、中心に施された白い帯状の装飾が作品にモダンな印象を与えています。その帯には円環文様が刻まれており、「和」や「輪」といったテーマを暗示するものとしても読み取れるでしょう。

一見すると異国的なデザインにも思えるフォルムながら、細部の緻密な仕事と素材感はまさに京焼の正統を感じさせ、日本的な“間”や“余白”が全体を調和へと導いています。

蜻蛉の羽は左右対称に配されているものの、それぞれにわずかな表情の差があり、機械的でない自然な揺らぎが美しい。見る角度によってその印象は刻々と変化し、まるで空間の中で「とんぼが今まさに飛び立とうとしている」瞬間をとらえたような生きた感覚が生まれます。


文齋窯の系譜と六代目の挑戦

この「双蜻花入」が生まれた背景には、文齋窯の長い歴史があります。初代・小川文助が九州で築窯技術を修得し、1847年に「文齋」として創業してから170余年。五条坂に窯を築いたのは1873年のことでした。以降、六代にわたり京焼の伝統を受け継ぎ、現代に至るまでその技と精神は脈々と継承されています。

六代目・小川文齋(興)様は、彫刻を学び、さらに京都の陶芸技術を徹底的に学び直すことで、より自由で立体的な造形に挑戦してきました。伝統に甘んじることなく、日展への挑戦や個展、さらには日常の器や空間オブジェにまで視野を広げて制作を続ける姿勢は、まさに“継承と革新”を体現しています。

「平和を願いながら、美しいと思うものを全力で作っていく」
この言葉に込められた想いが、まさにこの「双蜻花入」に宿っているのです。


自然とつながる暮らしの中で

とんぼは「勝虫(かちむし)」として古来より縁起のよい存在とされる一方、清らかな水辺に住むことから、浄化や再生の象徴でもあります。この「双蜻花入」は、そうした自然への敬意と人と人との輪を結ぶ祈りを、一つの形に昇華させた作品です。

和室に据えれば静謐な格調を湛え、洋間ではモダンなオブジェとして異彩を放ちます。まさに空間と時代を超える、唯一無二の花入。

二匹の蜻蛉が結ぶ、記憶と願いのかたち。
六代 小川文齋様の“緑の精神”がここに、かたちとなって羽ばたきます。

 

六代 小川 文齋(興) 文齋窯 六代目 当主
陶芸作家・日展 会友・京都工芸美術作家協会 会員

活動経験
・カルチャーセンター講師(毎日・NHK・京都)20年継続中
・野焼き (五代文齋と共に)
・有限責任事業組合工人を結成・参加

陶歴
1974 京都五条坂の陶芸家 五代 小川文齋の長男として生まれる。
1999 京都造形芸術大学大学院 芸術学部 彫刻コース 修了
2000 京都府陶工高等技術専門校 成形科 修了 / 京展 入選 / 全関西美術展 入選
2001 京都府陶工高等技術専門校 専攻科 修了 / 京展 入選 / 京都工芸美術作家協会 入会
2002 グループ展「5人展」 / 京都市工業試験場 窯業研究室 修了 / 京展 楠部賞 / 第34回日展 初入選
2003 京展 入選 / 第25回日本新工芸展 日本新工芸奨励賞 / 日本新工芸家連盟近畿会 入会 / 全関西美術展 入選 / 第35回日展 入選
2004 京展 入選 / 第26回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第36回日展 入選
2005 第27回日本新工芸展 東京都知事賞 / 初個展 (京都大丸百貨店アートサロン) / 第37回日展 入選
2006 第28回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売テレビ放送賞 / 全関西美術展 入選 / 個展(髙島屋京都店 美術工芸サロン) / 第38回日展 入選
2007 京展 入選 / 第29回日本新工芸展 入選 / 第39回日展 入選 / 京都女子大学附属小学校 創立50周年記念 陶芸展 出品
2008 京展 入選 / 第30回日本新工芸展 入選 / U.S.E Uryuyama.Sculptors.Exhibition (ギャラリーマロニエ)
2009 グループ展「真朱展 冬の集い」 / 日本新工芸家連盟 会員になる / 第31回日本新工芸展 出品 / 京都工芸美術作家協会展 協会奨励賞 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第41回日展 入選 / 個展 (京都大丸百貨店 アートサロン) / U.S.E展 2009 (ギャラリーマロニエ)
2010 第32回日本新工芸展 出品 / 第42回日展 入選
2011 京都女子学園 創立100周年記念 第8回特別展「附属小学校卒業生-陶芸作家展」出品 / 第33回日本新工芸展 出品 / 全関西美術展 読売テレビ賞 受賞 / 新天地を求めた京焼 清水焼団地五十年の歩み 出展 / U.S.E 4 (ギャラリーマロニエ) / 創立65周年記念 京都工芸美術作家協会展 出品 / 個展 (京都大丸百貨店 美術画廊)
2012 第34回日本新工芸展 審査員 / 日本新工芸展近畿展 京都市教育長賞 / U.S.E 5 (ギャラリーマロニエ)
2013 京焼 文齋窯 六代目を継承する。
第35回日本新工芸展 出品 / U.S.E 6 (ギャラリーマロニエ) / 第44回日展 入選
2014 U.S.E 7 (ギャラリーマロニエ) /日本新工芸家連盟 脱退
2015 琳派400年記念現代作家200人による日本画・工芸展(京都文化博物館)/ 平成の京町家×平成の工人 / U.S.E 8 (ギャラリーマロニエ)
2016 京都六原地区「みんなでつけよう ろじのあいしょう」プロジェクト銘板作成 / 陶芸に集う日本画・写真・截金 四人のコラボ展(ポルタギャラリー華)
2017 個展 大丸京都店 美術画廊 / U.S.E 10 (ギャラリーマロニエ)
2018 喫茶去~まずはお茶を一服~ 工人(ポルタギャラリー華)
登り窯 損壊
2019 登り窯修復 完了
京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)
六代 小川文齋襲名披露祝賀会
2020 京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)/ 京都工芸美術作家協会 選抜展
2021 創立75周年 京都工芸美術作家協会展 / 個展 大丸京都店 美術画廊
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