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翠緑花入 小川文齋

翠緑花入 小川文齋

通常価格 $628.00
通常価格 セール価格 $628.00
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幅 : 9.5cm×9.5cm 高さ : 20.0cm

「翠緑花入(すいりょくはないれ)」
― 六代 小川文齋(興) 作

控えめでありながら、確かな存在感。見る者の視線を自然に引き寄せ、空間に静かな中心を据えるかのような力をもつのが、六代 小川文齋(興)様によるこの「翠緑花入」です。釉薬の翠と素地の白が描くその潔いコントラストは、どこか神殿建築の柱のような神聖さすら湛えており、花を活けずともすでに“美”として完成された佇まいを感じさせます。上部から流れる翠釉は、小川文齋様が長年探究してきた色彩の結晶です。深く、そして澄んだこの緑は、ただ装飾として存在するのではなく、「平和」や「再生」「命の息吹」といった、時代や思想を超えて人の心を打つ普遍的なメッセージを内に秘めています。艶やかな釉の面が光を受けて緩やかに反射し、見る角度によって表情を変えるその姿は、まるで生き物のような気配すら感じさせます。一方、下部の素地は、きめ細かく、ややざらりとした質感の白土。陶土本来の風合いを残しながら、あえて釉薬を施さず、素材の“静けさ”を保ち続けています。釉と素地の明確な境界線が、この作品の造形に張り詰めた緊張感を与える一方で、全体のフォルムはやや柔らかく膨らみをもっており、そこに“和らぎ”を感じさせる絶妙な設計がなされています。


モダンと伝統が共存する造形美

この作品の造形は一見すると現代的でミニマルな印象を受けますが、その背後には京都・五条坂で150年以上にわたって受け継がれてきた文齋窯の技術と精神が確かに息づいています。文齋窯の歴史は、1847年にさかのぼります。初代・小川文齋(文助)は、諸国の陶業地を巡り、肥前有田にて築窯技術を修得したのち、京都府木津川市・鹿背山の地にて窯を開きました。一条家に認められ、「齋」の字と家紋を賜り、文齋の名を襲名。以後、明治維新を経て五条坂に移窯し、京都の陶都の中心地で作陶を続けることとなります。六代目・小川文齋(興)様は、こうした歴代の精神を受け継ぎつつも、現代の空間に自然に溶け込む“用と美”を意識した作品づくりを志向してきました。大学院で彫刻を学び、釉薬と造形の高度なバランスを追求しながら、数々の展覧会で高い評価を獲得。とくに近年は「緑色の人」として、翠釉を基軸にした表現を深めておられます。


花を迎えるための“静かな器”

この「翠緑花入」が持つ最大の魅力は、その“余白”にあります。控えめな造形だからこそ、挿される花の輪郭が際立ち、葉や茎までもが作品の一部となるように調和します。小さな野の花を挿しても、モダンなアートフラワーを飾っても、まるで空間に詩の一節を加えるような存在感を放つでしょう。さらに、白土の胴に映る光と影のコントラストは、四季の移ろいを感じさせる繊細な変化を生み、時間の経過とともにその表情を豊かにしてゆきます。茶室の床の間や現代住宅のリビング、さらには店舗の一角にも調和し、飾る人の感性に静かに寄り添う器――それがこの一輪花入の本質です。


“翠の思想”を未来へつなぐ器

六代 小川文齋様が作品に込めるメッセージは、常に一貫しています。
「美しいと思うものを、平和を願いながら全力で作る」。
その真摯な姿勢は、見た目の華やかさよりもむしろ、“静けさの中に宿る力”にこだわるという形で現れています。色彩は控えめで、線は潔く、器の姿そのものが人の心を包み込む“包容”であるべきだという哲学。それはまさに、日本の伝統工芸が大切にしてきた“和の心”と響き合うものです。本作に流れる翠の釉は、単なる装飾ではありません。
それは、争いのない世界への祈りであり、人と人が輪となり支え合う未来への希望なのです。

ご購入に際してのご案内
本作品は、ご成約後「紙箱」でのご用意となります。
木箱は付属いたしません ので、あらかじめご理解のほどお願い申し上げます。
本作品は作家様より木箱のご用意がない仕様であり、当店でも木箱のお仕立てを行っておりません。そのため専用の紙箱にてお渡しさせていただいております。
六代 小川 文齋(興) 文齋窯 六代目 当主
陶芸作家・日展 会友・京都工芸美術作家協会 会員

活動経験
・カルチャーセンター講師(毎日・NHK・京都)20年継続中
・野焼き (五代文齋と共に)
・有限責任事業組合工人を結成・参加

陶歴
1974 京都五条坂の陶芸家 五代 小川文齋の長男として生まれる。
1999 京都造形芸術大学大学院 芸術学部 彫刻コース 修了
2000 京都府陶工高等技術専門校 成形科 修了 / 京展 入選 / 全関西美術展 入選
2001 京都府陶工高等技術専門校 専攻科 修了 / 京展 入選 / 京都工芸美術作家協会 入会
2002 グループ展「5人展」 / 京都市工業試験場 窯業研究室 修了 / 京展 楠部賞 / 第34回日展 初入選
2003 京展 入選 / 第25回日本新工芸展 日本新工芸奨励賞 / 日本新工芸家連盟近畿会 入会 / 全関西美術展 入選 / 第35回日展 入選
2004 京展 入選 / 第26回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第36回日展 入選
2005 第27回日本新工芸展 東京都知事賞 / 初個展 (京都大丸百貨店アートサロン) / 第37回日展 入選
2006 第28回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売テレビ放送賞 / 全関西美術展 入選 / 個展(髙島屋京都店 美術工芸サロン) / 第38回日展 入選
2007 京展 入選 / 第29回日本新工芸展 入選 / 第39回日展 入選 / 京都女子大学附属小学校 創立50周年記念 陶芸展 出品
2008 京展 入選 / 第30回日本新工芸展 入選 / U.S.E Uryuyama.Sculptors.Exhibition (ギャラリーマロニエ)
2009 グループ展「真朱展 冬の集い」 / 日本新工芸家連盟 会員になる / 第31回日本新工芸展 出品 / 京都工芸美術作家協会展 協会奨励賞 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第41回日展 入選 / 個展 (京都大丸百貨店 アートサロン) / U.S.E展 2009 (ギャラリーマロニエ)
2010 第32回日本新工芸展 出品 / 第42回日展 入選
2011 京都女子学園 創立100周年記念 第8回特別展「附属小学校卒業生-陶芸作家展」出品 / 第33回日本新工芸展 出品 / 全関西美術展 読売テレビ賞 受賞 / 新天地を求めた京焼 清水焼団地五十年の歩み 出展 / U.S.E 4 (ギャラリーマロニエ) / 創立65周年記念 京都工芸美術作家協会展 出品 / 個展 (京都大丸百貨店 美術画廊)
2012 第34回日本新工芸展 審査員 / 日本新工芸展近畿展 京都市教育長賞 / U.S.E 5 (ギャラリーマロニエ)
2013 京焼 文齋窯 六代目を継承する。
第35回日本新工芸展 出品 / U.S.E 6 (ギャラリーマロニエ) / 第44回日展 入選
2014 U.S.E 7 (ギャラリーマロニエ) /日本新工芸家連盟 脱退
2015 琳派400年記念現代作家200人による日本画・工芸展(京都文化博物館)/ 平成の京町家×平成の工人 / U.S.E 8 (ギャラリーマロニエ)
2016 京都六原地区「みんなでつけよう ろじのあいしょう」プロジェクト銘板作成 / 陶芸に集う日本画・写真・截金 四人のコラボ展(ポルタギャラリー華)
2017 個展 大丸京都店 美術画廊 / U.S.E 10 (ギャラリーマロニエ)
2018 喫茶去~まずはお茶を一服~ 工人(ポルタギャラリー華)
登り窯 損壊
2019 登り窯修復 完了
京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)
六代 小川文齋襲名披露祝賀会
2020 京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)/ 京都工芸美術作家協会 選抜展
2021 創立75周年 京都工芸美術作家協会展 / 個展 大丸京都店 美術画廊
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