柳生焼辰砂瓶 井倉敏夫

幅 : 11.3cm　高さ :14.5cm

ご紹介

辰砂の鮮烈な美しさと柳生焼の伝統

「柳生焼辰砂瓶」は、井倉敏夫様による作品で、柳生焼の伝統に根ざした深みと、辰砂の鮮やかな紅色が特徴です。辰砂は、その独特の発色が焼成時の温度や酸化還元の条件により微妙に変化するため、作家の技術と経験が試される難易度の高い釉薬です。この辰砂瓶では、卓越した技術が存分に発揮され、ルビーのような美しい紅色が作品全体を包み込んでいます。

柳生焼の歴史と新たな挑戦

柳生焼は、その起源が剣豪・柳生十兵衛の祖母「春桃御前」にまで遡るとされ、藩の性格上、長く「お庭焼」の域を出なかったことから「幻の焼き物」とも称されています。しかし、井倉家がその再興に尽力し、その伝統を引き継いでいます。この辰砂瓶も、柳生焼の伝統を重んじながらも、井倉敏夫様ならではの新たな表現が加わった作品です。

辰砂の表現力

この辰砂瓶では、辰砂の紅色が瓶の全体にわたって美しく広がり、その鮮烈な色彩が、静かでありながら強烈な存在感を放っています。辰砂の微妙な発色は、一つとして同じものがないため、作品ごとに異なる表情が生まれ、見る者を引き込む力を持っています。この瓶は、単なる器としての実用性を超えて、彫刻的な美しさも兼ね備えており、装飾品としても鑑賞する価値のある作品です。

受賞歴に裏打ちされた確かな実力

これまでに数々の受賞歴を誇り、奈良県知事賞をはじめとする複数の賞を受けています。また、日本民芸公募展への入選など、国内外での評価も高く、その作品は柳生焼の伝統を継承しながらも、現代的な美意識を取り入れたものとして高く評価されています。伝統工芸と芸術性の双方を追求する姿勢が作品に表れており、この辰砂瓶もその一つです。

柳生兵法と「活人剣」の精神

井倉敏夫様は、柳生兵法新陰流における「活人剣」の精神を重んじており、人を殺さず活かす、共存共栄の心を作品作りに込めています。この辰砂瓶も、単なる美しい器というだけでなく、その背景には、平和と調和を象徴する精神が息づいています。作品を手に取ることで、その美しさだけでなく信念や生き方にも触れることができるのです「柳生焼辰砂瓶 井倉敏夫様」は、柳生焼の伝統に辰砂の紅色を融合させた鮮やかで力強い作品です。受賞歴に裏打ちされた確かな技術と、柳生兵法に基づく「活人剣」の精神が込められたこの作品は、見る者に深い感動を与え、柳生焼の新たな魅力を感じさせる逸品です。

井倉　敏夫　1938年生

【受賞歴】

・「第27回奈良県展」知事賞
・「第2回天展」入選
・「奈良県美術協会」奨励賞
・「ふるさと奈良コンテスト」伝統工芸の部　4位入賞
・「奈良県優良観光土産品推奨審査会」　奈良工芸協会理事長賞
・「奈良新作土産品展」奈良商工会議所会頭賞
・「第34回日本民芸公募展」入選

 【所属団体】

奈良県美術協会、奈良県工芸協会、奈良県産業共励会
陶芸の集い「陶苑」主宰 

【師等】

井倉喜太郎（父）
後継者　井倉幸太郎

【信念・生き方等】

柳生兵法新陰流に臼く「活人剣」即ち、人を殺さず人を活かす、永久平和、共存共栄の心を学ぶ。