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白黒陶筥 松川和弘

白黒陶筥 松川和弘

通常価格 $353.00
通常価格 セール価格 $353.00
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白黒陶筥 松川和弘作(W4.9×D4.6×H6.2cm)
――「白は“余白”、黒は“沈黙”。小さな立方体に、景色が宿る」


Ⅰ 陶筥という器――“仕舞う”ことで、気配が立ち上がる

陶筥(とうばこ)は、ただ物を入れるための箱ではありません。しまう/守る/整えるという所作そのものを、美へと引き上げる道具です。蓋を合わせる、指先で角を確かめる、すっと持ち上げてまた戻す――その静かな一連の動きが、茶の湯が大切にしてきた「間」を生みます。
本作は、掌に収まる寸法でありながら、立方体の量感がきちんとあり、置いた瞬間に空間の重心が定まります。小さいのに“弱くない”。ここが松川和弘氏の造形の強さです。


Ⅱ 白と黒の対話――“景色”としての二色

本作の最大の魅力は、白と黒が単なる配色ではなく、質感と時間の差として響き合っている点にあります。は、光を吸い込むような沈静の面をつくり、輪郭を強く見せます。は、石肌のような斑を含み、微細な陰影をまとって“余白”を深めます。

白が無垢に明るいのではなく、ざらりとした粒子感があることで、白は「冷たさ」ではなく「気配」を帯びます。黒は単に重いのではなく、面が整うことで「締まり」として機能します。結果として、白=呼吸、黒=沈黙のように、二色が互いを引き立て合い、見るたびに緊張感が生まれます。


Ⅲ キューブの造形――“直線”が生む品格

立方体は、最も単純であるがゆえに、誤魔化しが利かない形です。角が甘ければ幼く見え、面が波打てば落ち着きを失います。
本作は、角の立ち方と面の張りが美しく、しかも冷たく硬質になり過ぎない。これは、焼成と釉の収まりを読み切った上で、最終形を“狙って”成立させているからです。
また、蓋と身の境界線が、単なる継ぎ目ではなく、水平線のように器を落ち着かせる線として働いています。視線がそこに一度止まり、次に白と黒の面へと滑っていく。小品ながら鑑賞の導線が設計されている点が、非常に魅力的です。


Ⅳ 用途の提案――香・菓子・小さな宝物のために

この陶筥は、用途がひとつに固定されないところが嬉しいです。茶の湯の文脈では、以下のように幅広くお使いいただけます。香合(こうごう)として:練香や香木片を、気配ごと収める器として。干菓子・金平糖・琥珀糖などの小菓子に:黒が甘さを引き締め、白が清潔感を添えます。茶席の小道具入れに:小さな折釘、香箸、留め具など“微細な道具”を整える箱として。現代の暮らしでは:指輪、ピアス、印章、薬、USBなど、日常の“小さな大切”の居場所に。

白と黒の二面性は、和の室礼だけでなく、モダンなインテリアにもすっと馴染みます。棚の一角に置くだけで、空間が引き締まるタイプの作品です。


Ⅴ 白黒の美学――“侘び寂び”と“現代性”の交点

茶の湯が愛してきたのは、派手な装飾ではなく、余白に宿る力でした。本作はまさに、装飾を削ぎ落とした先に残る「形」「面」「質」の美が前面に出ています。
ただし、古典への懐古ではありません。白と黒の切替、立方体の抽象性、素材感の強さは、現代の美意識――ミニマル、建築的、彫刻的――にも直結しています。
つまりこの陶筥は、茶の湯の静けさを保ちながら、現代の空間に耐える“強度”を持った小さな彫刻なのです。


Ⅵ 取り扱い(銀彩ではない作品としての注意)

本作は白黒の質感が魅力ですので、日々のお手入れはシンプルで十分です。使用後は柔らかい布で軽く拭き、必要に応じて水洗い後によく乾燥させてください。研磨剤入りのスポンジは、表情を損ねる場合がございますのでお控えください。蓋物ですので、保管時は内部の湿気がこもらないよう、時折風を通していただくと安心です。


まとめ

白黒陶筥は、掌に収まる小ささの中に、白と黒の緊張、面と角の品格、そして“仕舞う所作”の美を凝縮した作品です。
蓋を合わせた瞬間、空間が静かに整う――その体験ごと、お手元でお楽しみいただける一品です。

略歴

1977 大阪府河内長野市生まれ
1998 奈良芸術短期大学陶芸コース卒業
2000 奈良芸術短期大学専攻科修了
2001 京都府立陶工高等技術専門校修了
   近藤高弘氏に師事
2006 独立・河内長野市にて開窯

主な個展・展覧会

2007 京都府美術工芸新鋭選抜展(京都文化博物館)
   二人展(松坂屋名古屋店美術画廊/名古屋)
   個展(京都高島屋美術工芸サロン/京都)
2008 個展(カンパニュール/千葉)
   個展(パラミタミュージアム小ギャラリー/三重)
2009 個展(ギャラリーエスパス/名古屋)
2010 個展(札幌三越美術ギャラリー/北海道)
   個展(松坂屋名古屋店美術画廊/名古屋)
   個展(アルパーク天満屋美術画廊/広島)
2011 個展(陶器ギャラリー風露/大阪)(’07)
2012 個展(ギャラリーおくむら/東京)(’07 ’09)
2013 個展(ラブリーホール開館20周年記念事業/大阪)
2014 個展(天満屋広島八丁堀店アートギャラリー/広島)(’11)
2016 個展(天満屋福山店アートギャラリー/広島)(’08 ’12)
   三人展(博多阪急ミューズ/福岡)
2017 個展(ピナコテーカ/東京)(’14 ’15)
   個展(天満屋岡山店美術ギャラリー/岡山)(’08)
   個展(アトリエヒロ/大阪)
2018 個展(日本橋三越本店美術ギャラリー/東京)
   個展(髙島屋大阪店ギャラリーNEXT/大阪)(’08 ’11 ’15)
2020 個展(花あさぎ/東京)
2021 個展(ギャラリーたちばな/奈良)(’15 ’17 ’19)
2022 二人展(花あさぎ/東京)
2023 二人展(アトリエヒロ/大阪)
2025 二人展(花あさぎ/東京)
   個展(緑ヶ丘美術館/奈良)

受賞歴

第36回日本伝統工芸近畿展(大阪府教育委員会賞)
第55回日本伝統工芸展(日本工芸会総裁賞)

パブリックコレクション

緑ヶ丘美術館

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    作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。

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