井戸手茶盌 猪飼祐一
井戸手茶盌 猪飼祐一
幅 : 14.2cm 高さ :7.6cm
猪飼祐一様による「井戸手茶盌」は、朝鮮李朝前期に焼かれた伝統的な陶器である井戸茶碗の美しさと特徴を見事に再現した逸品です。この茶盌は、井戸茶碗としての古来からの伝統とともに、茶人たちが大名物・名物として特に珍重してきた格式の高さを持ち合わせています。
井戸手茶碗の魅力 井戸手茶碗は、李朝前期に朝鮮で焼かれた茶碗の一種で、その名声は長い歴史の中で培われてきました。茶碗の形は、のびのびとした優美な椀形で、素地には砂混じりの荒い土が使用されています。この素朴で力強い土は、茶盌全体に温かみを与え、触れるたびにその自然な風合いを感じることができます。
釉薬と轆轤目の美しさ 猪飼祐一様の「井戸手茶盌」には、枇杷色と称される淡い褐色の釉薬が厚くかけられ、その表面に見える轆轤目が非常に際立っています。茶盌の全面を覆うこの釉薬は、見る者に落ち着きと上品さを感じさせ、荒い貫入(かんにゅう)が時間の経過とともにその表情を変えることで、長く愛用する楽しみをもたらします。
荒々しいかいらぎと釉だまり 茶盌の腰部には、釉薬が熔けきらずに鮫の皮のように縮れた「かいらぎ」が現れ、これがまた井戸手茶盌の特色となっています。さらに、釉薬が溜まってできた「釉だまり」が素地に現れることで、茶盌全体に立体的な陰影を与え、素朴ながらも奥深い美しさを表現しています。釉だまりの周りに露出した素地が、自然の造形美を引き立てています。
高台と内面の見どころ 「井戸手茶盌」の高台は、竹の節を模した高台で、茶盌全体の安定感と美しさを支えています。内面には、重ね焼きの際に残る目跡が見られ、これもまた茶盌の一つの見どころです。このような細部にまでこだわった仕上がりは、井戸茶碗の伝統を尊重しつつも、猪飼祐一様の卓越した技術と感性が活かされています。
歴史と名称の由来 井戸茶碗の名称の由来には諸説あり、天正八年(一五八〇)の『津田宗及茶湯日記』にその名が初めて登場します。井戸茶碗の名称は、井戸若狭守覚弘が持ち込んだという説や、茶碗の見込みが井戸のように深いことから名付けられたという説、さらには朝鮮慶尚道の韋度(イド)という地名から転じたという説などが存在します。
大井戸の魅力 井戸茶碗にはさまざまな種類があり、その中でも特に珍重されているのが「大井戸(名物手)」と呼ばれるものです。この「大井戸」は、古来より茶人たちに愛されてきたもので、その代表的な作品には「喜左衛門(国宝)」が含まれます。猪飼祐一様の「井戸手茶盌」もまた、大井戸の伝統を踏襲しつつ、現代の美意識に合わせた逸品として、多くの人々に愛されることでしょう。
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作品ごとに、出来るだけ詳細をご確認いただけるように画像を掲載しておりますが、ご不明な点はお問い合わせください。
作品の色合いなどは、画像を表示する環境により若干異なることがございますが、ご理解の程お願いいたします。
作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。