乾山写しクリスマスの絵茶碗 宮川香斎

高さ :9.0cm　　幅 : 10.5cm 

「乾山写しクリスマスの絵茶碗」は、伝統的な京焼の技法である乾山写しを用いながら、現代的なクリスマスのテーマを取り入れた非常にユニークな作品です。この茶碗では、赤いミニチュアの家に雪が積もり、トナカイがサンタクロースをそりで引いているシーンが描かれており、愛らしさと遊び心を感じさせます。雪の部分はわずかに盛り上がっており、触感でも楽しむことができる点がこの作品の特徴です。このようなテーマを取り入れながらも、宮川香斎様による確かな技術が光るのが、この「乾山写しクリスマスの絵茶碗」の魅力です。

乾山写しとその伝統

「乾山写し」とは、江戸時代の著名な陶芸家・尾形乾山の作風を模倣し、現代に蘇らせた技法を指します。乾山は、斬新なデザインや自由な発想を持ち込み、陶芸に革命をもたらしました。乾山写しの作品は、その独創性を尊重しつつも、伝統的な技術によって再現されています。宮川香斎様が手掛けたこの茶碗は、乾山の精神を受け継ぎながらも、現代的なクリスマスのテーマを取り入れるという新しい試みに挑戦しています。特に、茶碗に描かれた雪やサンタクロースのそりといったモチーフは、伝統的な日本の茶道具には見られない要素であり、斬新さを感じさせます。

京焼の伝統と現代の融合

「仁清写し」が野々村仁清の作風を写したものであるのに対し、「乾山写し」は尾形乾山の作風を写した作品であり、その違いは技法やデザインの違いにも反映されています。京焼の名門である宮川香斎様は、これまでにも「仁清写し」「乾山写し」といった伝統技法を受け継いできましたが、この「クリスマスの絵茶碗」では、それらの伝統に現代的なモチーフを融合させるという試みが実現しています。特に、このクリスマスをテーマにした茶碗は、他の陶家では見られない特別な作品であり、京焼の新しい可能性を感じさせます。

真葛焼の特徴と技法

真葛焼は、多様な技法を網羅することで知られています。染付、鉄絵、交趾、金欄手など、伝統的な京焼の技法を幅広く取り入れ、作品に深みを加えています。この「クリスマスの絵茶碗」にも、真葛焼の技術が凝縮されており、上絵の美しさと豊かな色彩が特徴的です。職人技が随所に見られ、茶碗を手にした瞬間、その繊細な作りに感動を覚えることでしょう。

宮川家の歴史と真葛焼の伝統

宮川家は1680年頃から陶芸を営み、時代の移り変わりに応じた作品を制作してきました。宮川香斎家は、茶の湯や煎茶道具に特化した作品を作り続け、その美意識と技術は代々受け継がれています。この「クリスマスの絵茶碗」も、茶道具としての実用性と雅な美しさを兼ね備え、茶の湯の精神が感じられる一品です。宮川家の陶器制作の伝統を継承しながらも、時代に即した新しいテーマを取り入れることで、独自の存在感を放っています。

海外への広がりと評価

真葛焼の魅力は、国内だけでなく、アメリカ、イギリス、フランス、中国などの海外でも高く評価されています。作品は、伝統的な技法に加え、現代の感性を反映したデザインが世界中の陶芸愛好家に支持されています。この「クリスマスの絵茶碗」もまた、京都の華やかな伝統美を象徴する作品であり、その洗練された造形と品格は、国際的にも高く評価されています。茶道具の枠を超えたアート作品として、世界中のコレクターから愛されています。「乾山写しクリスマスの絵茶碗」は、伝統と現代の融合を象徴する特別な作品です。真葛焼の多彩な技法が活かされ、独自のデザインと確かな技術で作られたこの茶碗は、見る人を魅了する雅やかな美しさを持っています。時代を超えて愛され続け、家宝としても、日常で使用する器としても、その価値は揺るぎないものであり、多くの人々に永く愛され続けることでしょう。