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黒釉手びねり松の絵茶碗 宮川香斎

黒釉手びねり松の絵茶碗 宮川香斎

通常価格 $3,752.00
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高さ :9.5cm  幅 : 12.0cm 

「黒釉手びねり松の絵茶碗 宮川香斎」は、日本の伝統的な美意識と宮川家の歴史ある技術が見事に融合した、気品あふれる一品です。この茶碗は、手びねりの技法を用いて作られており、その半球の形状は手にしっくりとなじみます。黒釉の深い色合いが、手取りの良さと美しさを引き立て、茶碗を手にしたときの感触が一層際立ちます。茶碗の表面には大胆に描かれた松の絵が配置されており、その力強い図柄は視覚的なインパクトを与えるだけでなく、茶道具としての趣深さを高めています。

松の象徴性とその文化的背景

松は日本の文化において古くから特別な存在であり、神聖な木とされると同時に、節操や長寿を象徴する木でもあります。日本では、松は「神の寄り木」として、神聖な力が宿ると信じられてきました。特に門松の風習に見られるように、新年を迎える際には松が使われ、その長寿と不滅の象徴として尊ばれています。また、松は「松竹梅」という縁起木の筆頭に位置づけられ、その不屈の生命力や強靭さから、喜ばしい出来事や長寿の象徴とされています。

寒さ厳しい冬にも青々とした姿を保つ常緑樹で、その強さと耐久力が、長寿や不老不死を象徴する理由となっています。日本の平安時代には、松は吉祥の象徴として文献や芸術作品に多く取り上げられるようになり、その後も茶の湯や工芸品のモチーフとして愛され続けてきました。松の存在感は茶道の世界でも特別であり、茶室における静寂の中に、松の絵がもたらす厳粛さと生命力は、使用者に深い精神性を感じさせます。

手びねりと黒釉の巧妙な融合

「黒釉手びねり松の絵茶碗」は、手びねりの技法によって作られており、手で作ることによって生まれる自然な形が特徴です。手びねりは、ろくろを使わずに手で成形する技法で、陶工の手の動きや感触がそのまま作品に反映されるため、手作りならではの温かみが感じられます。茶碗の形状はどこか素朴でありながら、使う人の手にぴったりと馴染むように計算されています。この技法は、見た目の美しさだけでなく、実用的な使い心地も大切にしており、茶の湯の世界において重要な要素となっています。

また、黒釉は鉄分を多く含む釉薬を高温で焼き上げることで、深い黒色に発色します。この黒釉の表面は、光の加減によってさまざまな表情を見せ、茶碗を持ったときにその質感が変わるのも魅力のひとつです。黒釉は、茶の湯における抹茶の鮮やかな緑を引き立てる背景色としても理想的であり、その色合いが茶席に静謐な雰囲気をもたらします。

松の絵とその意味

この茶碗に描かれた松の絵は、大胆な筆使いで描かれ、その力強い線が目を引きます。松の枝や葉の曲線は、自然のままの姿を表現しており、その動きが生き生きと感じられます。松は「長寿」「不老不死」の象徴であるだけでなく、その力強い生命力が、不屈の精神や強さを表すものとしても捉えられています。

松の図柄は、茶碗を囲むように描かれ、茶碗を回すたびに異なる表情を見せてくれます。茶の湯において、茶碗を回しながら茶を点てる行為は重要な意味を持ちますが、その際にこの松の絵が視覚的な楽しみを与えてくれるのです。また、松葉の描かれ方にも注目すべきで、松葉は落ちても二本の葉が根元で繋がっていることから、離れ離れにならない象徴として、夫婦円満や絆の意味が込められています。

真葛焼の歴史と宮川家の伝統

この茶碗を作った宮川香斎様は、京都で代々続く真葛焼の家系であり、その歴史は330年以上にわたります。真葛焼の起源は江戸時代の貞享年間(1684~1687年)にさかのぼり、初代宮川小兵衛政一が京都に窯を開いたことから始まります。その後、宮川家は陶芸技術を代々継承し、茶道具や煎茶道具をはじめ、さまざまな工芸品を生み出してきました。

特に「ワラ灰釉」を使用した技法は、真葛焼の代表的な特徴のひとつです。ワラ灰釉は、薪を燃やした後に残る灰を釉薬として使用し、透明感と奥深い色合いを生み出します。この釉薬は200年以上にわたり宮川家で受け継がれてきたもので、その施された作品はどれも高い美的価値を持っています。黒釉とワラ灰釉の調和が、この「黒釉手びねり松の絵茶碗」にも見られ、その美しさは一目瞭然です。

宮川香斎様と現代における評価

現在の宮川香斎様は、真葛七代目としてその伝統を守りながら、現代の茶道具や工芸品の制作に取り組んでいます。宮川家の作品は、国内外で高く評価されており、ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)やユネスコ日本政府代表部(パリ)など、多くの美術館に所蔵されています。また、最近ではアメリカやヨーロッパ、中国など海外でも多くのファンを持ち、宮川家の作品は日本の伝統美の象徴として世界中で愛されています。「黒釉手びねり松の絵茶碗 宮川香斎」は、手びねりの温もりと黒釉の深み、そして力強い松の絵が一体となった、まさに茶道具の傑作です。その美しい形状と質感は、茶の湯の世界における重要な役割を果たすだけでなく、見る者に深い精神性と自然の美しさを感じさせます。宮川家が330年以上にわたって受け継いできた伝統と技術が凝縮されたこの茶碗は、茶道具としてだけでなく、芸術作品としてもその価値を高く評価されており、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。

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