芸術生成論13「現代アートとしての茶碗」

(完成品) 高台が作りにくいため、底を隠しやすい瀬戸黒に挑戦する。

 

(完成前) 3Dプリンター特有の模様が美しい。

 

 

 

(完成品) 釉薬がぷっくりとしたぐい飲みが面白い。

 

(作成中)紐作りのように粘土を積み上げていく。

 

 

 

3Dプリンターを使って家を建てられる時代だが、陶器作品一つを3Dプリンターを使って作る場合、微調整が多くすんなりできるわけではない。陶芸とは繊細な手作業であることがわかる。

 

技術の進歩はいつの時代でも強調されるところだが、

Houdini(3DCGソフトウェア)を用いて、陶器を作ることができる。

 

現代美術=テクノロジーの産物、という図式は古いが、

現代アートとしての茶碗を位置付けるのであるなら、やっぱりテクノロジーによる茶碗であろう。3Dソフトを使った茶碗は、いかにも現代アート茶碗という感じがする。

3Dプリンターを使って自ら茶碗を作ってみた習作だが、面白い。茶の湯とは不思議で奥深い文化である。ただ茶碗に入れた粉状の抹茶に湯を注いでかき混ぜて飲む”という、鎌倉末期からほぼ変わらないシンプルな行為でありながら、日本最高峰の総合芸術”とまで称されるのだから。極めようと思えば、茶道具、茶室、花生け、和菓子……と、どこまでも世界が広がる。

 

この3Dプリンターのメリットは軽さにある。見た目より軽く感じるのがいい茶碗の条件と言われるが、見るからに軽いのだ。もちろん軽さだけではなく、愛着を持てるものがいちばんだ。酒器やマグカップと同じだが、あえて、抹茶碗で軽さに挑戦するのが面白い。茶碗の選びのコツは、おそらく、たとえ少々飲みづらくとも、デザインや雰囲気が好みであることだろう。毎日楽しく使ったり観賞できるのだから。見た目が少々変でも、実際に手に取ると、口当たりがなめらかで、重心が安定しているような軽さがあるものが一番嬉しい。

 

3Dプリンターで茶碗ができたのだから、次は茶室を3Dプリンターで作ってみたいと思う。これも現代アートとしての茶室だ。面白い。

 

 

ブログに戻る