芸術生成論29「北村美術館の魅力」

北村美術館の歴史と背景

北村美術館は、北村謹次郎氏の蒐集品を後世に伝えるため、1975年(昭和50年)に公益財団法人【北村文華財団】が設立され、1977年(昭和52年)に開館しました。建物は建築家・富家宏泰氏による設計で、大文字を正面に望み、賀茂川と高野川が合流する鴨川の西岸という、頼山陽も絶賛した「山紫に水明らかな處」に位置しています。この立地が醸し出す落ち着いた雰囲気と、北村氏の洗練された美意識が見事に融合し、訪れる人々に深い感動を与えています。


北村謹次郎とその収集品

北村謹次郎氏は、奈良県吉野地方で代々林業を営む旧家の出身ながら、茶道と古美術への情熱を絶やさず、奥様と共に珠玉の品々を収集しました。

  • 茶道具
    茶碗や硯箱など、実際の茶席で使われる道具は、茶人としての北村氏の眼で厳選された名品ばかり。
  • 書画・掛軸
    藤原仲文像(佐竹本三十六歌仙断簡)や与謝蕪村筆の「鳶鴉図」など、茶席の床に掛けることを意識した作品が多数収蔵されています。
  • その他の美術品
    日本各時代の古筆、陶磁器、金工品や中国・朝鮮・東南アジア、ヨーロッパなど世界各国の美術品も含まれ、その多彩なラインアップは歴史的・美術的価値が非常に高いと評価されています。

重文 蕪村筆紙本墨画淡彩鳶鴉図双幅

 

重文 織部松皮菱形手鉢

 

重文 仁清作色絵鱗波文茶碗

 

魯山人作絵瀬戸秋草文壺

 

交趾台牛香合盆付陽刻銘「天」


隣接する「四君子苑」の魅力

北村美術館の隣には、旧北村邸を利用した茶苑・茶室「四君子苑」があります。

  • 建築と由来
    数寄屋造りの建物は、昭和時代の数寄屋建築の傑作で、菊・竹・梅・蘭という四君子に由来する名称には、品格と風雅を祈る北村氏の想いが込められています。
  • 石造美術品の宝庫
    約60点に及ぶ多種多様な石造美術品が配置され、中でも嘉禎3年(1237年)の年銘入り石燈籠や、鎌倉時代の八角形の石燈籠、鶴の塔と呼ばれる宝篋印塔など、国の重要文化財に指定された貴重な品々が展示されています。
  • 公開の機会
    四君子苑内の茶室「看大」や主茶席「珍散蓮」など、茶席としての機能を持つ空間は、春と秋の一定期間に一般公開され、訪れる人々に古き良き茶の湯の世界を体験させてくれます。


アクセス情報

所在地
〒602-0841 京都市上京区河原町今出川下ル一筋目東入梶井町448

交通アクセス

  • 京阪電鉄「出町柳駅」から徒歩約10分
  • 京都市営地下鉄烏丸線「今出川駅」から徒歩約20分

まとめ

実際に足を運ばれた多くの方々からは、「茶道が好きな人には必見の美術館」「四君子苑の静かで美しい茶室は、まるで時の流れを忘れさせてくれる」など、感動と驚きを込めたクチコミが寄せられています。特に、北村氏が選び抜いた茶器や掛軸類、そして四君子苑の伝統美あふれる建築と石造品群は、訪れる人々に深い印象を残しているようです。単なる美術館ではなく、北村謹次郎氏の茶道と美術への情熱が詰まった、生きた伝統文化の発信地です。伝統の美意識と、四季折々の趣を感じられる茶室・四君子苑が調和した空間は、訪れるすべての人に心豊かな時間を提供してくれます。京都の風情ある街並みと相まって、ぜひ一度足を運び、北村美術館と四君子苑の魅力を体感してみてください。北村美術館で、静謐でありながらも情熱あふれる日本の美と茶の世界を、心ゆくまでお楽しみいただけることを願っています。

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