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青瓷振出  多賀井正夫

青瓷振出  多賀井正夫

通常価格 ¥33,000
通常価格 セール価格 ¥33,000
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税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。

幅 : 6.6cm×6.6cm  高さ : 9.3cm

作品概要

本作は、多賀井正夫様が手掛けられた**青瓷振出(せいじ ふりだし)**です。振出は茶道において金平糖などの干菓子を入れ、席中で「振り出す」所作に用いられる小振りの器で、客人への心づくしを象徴いたします。本作はその伝統的用途を踏まえつつ、現代的な洗練をまとった一点です。

造形

胴を豊かに張らせ、肩から口縁にかけて滑らかに絞り込むひょうたん形のフォルムは、掌にすっと収まる愛らしさと安定感を兼ね備えています。底部をわずかに絞ることで重心を低く保ち、卓上での佇まいを美しく整えております。蓋には籐を細かく編み上げた利休結びが添えられ、柔らかな有機性が磁胎の硬質さを和らげる好対照を生んでいます。

釉調

透明感のある青磁釉は、鉄粉を微量に含むことで還元焼成下において淡い青み—時に「雨過天青」と称される—を呈します。本作では素地と釉の膨張率を精密に調整することで貫入を抑え、鏡面のような光沢を実現。室内光を受けると釉厚のゆらぎがほのかなグラデーションを生み、静謐な水面を想起させます。

用途と茶道文化

振出は懐中用菓子器として16世紀頃から用いられてきましたが、青瓷で仕立てられる例は比較的少なく、「涼感」と「清廉」を一手に担う存在として夏の風炉点前などに重宝されます。客人が耳で振出の音を聞き、目で青瓷の色を愉しみ、味覚へと体験がつながる——五感連鎖こそ茶道ならではの美意識であり、本作はその媒介役を務めます。

歴史的文脈

青瓷は中国・北宋期の汝窯や南宋期の龍泉窯に淵源を持ち、日本では鎌倉時代に禅僧が舶載して以来「青白磁」と呼ばれ愛玩されました。室町〜桃山期には唐物の憧憬から国産青磁が試みられ、昭和期に入ると釉薬研究の深化で色調表現が飛躍的に向上します。多賀井様はそうした技術的系譜を踏まえつつ、「現代の生活空間に溶け込む青瓷」を探求されており、本作はその成果の一端といえます。

作家略歴と制作姿勢

多賀井正夫様は京都に生まれ、伝統工芸の修業を経て独立。中国古陶磁の研究を起点に、独自配合の青瓷釉を完成させました。近年は「用の美」を掲げ、茶道具・花器・酒器など掌で感じるサイズ感にこだわって制作。還元焼成の炉内で生じる微細な酸素流量の変化まで制御し、均一で揺らぎのある青という相反領域の平衡点を追求されています。本作「青瓷振出」は、凛とした青がもたらす静けさ。柔らかな曲線が醸す親しみ。利休結びが添える温かみ。これらが一体となり、客人の手元で小宇宙を成す逸品です。茶席においてはもちろん、書斎の卓上オブジェや香料入れとしても映え、見る者の感性を静かに揺さぶります。多賀井正夫様が磨き上げた技術と美意識が凝縮された青瓷の小世界を、ぜひ手に取ってご堪能くださいませ。

多賀井正夫様 陶歴
1970 大阪府岬町に生まれる  
1998 陶芸を志す  
2001 日本伝統工芸近畿展 入選  
2002 朝日陶芸展 川崎記念賞 受賞  
2005 日本伝統工芸近畿展 新人賞 受賞  
2007 大阪工芸展 大阪市長賞 受賞  
2009 日本伝統工芸展 入選  
2013 日本陶芸展 入選  
2014 現代茶陶展 入選  現在形の陶芸萩大賞展 入選  美濃茶盌展 入選  
2016 大阪府岬町に築窯  
2017 陶美展 入選(以降 18・19・20・22・23・24)  
2019 日本工芸会 正会員となる  
2025 日本伝統工芸近畿展 日本経済新聞社賞 受賞  
現在  
 日本工芸会 正会員  
 日本陶芸美術協会 正会員  
 大阪工芸協会 正会員  

多賀井正夫様との対談 – 高級陶器の専門店【甘木道】

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